加害者を擁護する検察官は信用できない---遺族の忌避申し立て、認める

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福岡地検は30日、交通死亡事故を担当していた検察官について、「被害者遺族の感情を逆なでするような言動をされ、ショックを受けた」という遺族の「忌避」の申し出を受け、別の検察官と交代させていたことを明らかにした。当初この事件を担当していた検察官は加害者擁護とも受け取られかねない発言を繰り返し、起訴を見送ってきたが、新しい検察官は交代直後に容疑者の起訴に踏み切ったという。

問題となった死亡事故は昨年7月23日に発生している。28歳の女性がダンプカーを運転中、無線に気をとられたまま右折し、青信号を横断していた11歳の少年をはねた。少年は全身を強く打つなどして死亡し、この女性は業務上過失致死容疑で逮捕された。

ところが捜査を担当した福岡県警捜査員が容疑者の都合を優先し、取調べを数カ月放置したこともあり、送検されたのは事故から4カ月以上が経過した今年初めになってから。担当の検察官もこの事件の取調べを熱心に行ったとは言えず、それどころか「容疑者は被害を受けた人に対しての謝り方を知らないだけ。あなたも相手の立場になって考えてあげたらどうか」など、加害者を過剰に擁護したとも受け取られかねない発言を遺族に繰り返していた。

また、早期の起訴を要望する8000人分の署名については「市民運動をすればすぐに集まる量。被害者のことを知っている人からの要請でないとこういうものは意味をなさない」と発言し、受け取り自体を拒否していた。

こうした数々の行動に対し限界を感じた被害者の遺族は今年4月、福岡高検に対して「感情を害される発言を繰り返され、信用できない」と忌避の訴え、つまりは担当検察官を変えるように申し立てを行った。事態を重く見た高検は地検に対して事実調査を行うように指示。地検は「今の担当検事では遺族との信頼関係を保てず、公判維持が不可能になる可能性が高い」と判断し、今月初めに検察官を交代させた。

前任の検察官は4カ月放置していたが、担当替えとなった検察官は積極的に事件の調べを行い、交代からわずか2週間ほどの今月28日、この容疑者を業務上過失致死罪で起訴している。

《石田真一》

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