被害者に朗報!! 高次脳機能障害は“後遺障害”と判決

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交通事故に巻き込まれて頭を負傷し、記憶障害などの後遺障害が残る「高次脳機能障害」となり、通常の生活を送ることも働くことも困難になったとして加害者側に1億2000万円の損害賠償支払いを求めていた裁判の判決が10日、岡山地裁倉敷支部で言い渡され、裁判官は加害者側に総額7300万円の支払いを命じた。

原告となった20歳の男性は1997年5月6日、岡山県倉敷市内の市道を自転車で横断しようとしたところ、21歳(当時)の女性ドライバーが運転するクルマにはねられ、頭を強く打つなどして2週間も意識不明となる重傷を負った。ケガは奇跡的に回復したが、事故の衝撃で脳に著しい損傷を負い、知能や記憶力が低下するなどの後遺症が残った。医師は“高次脳機能障害”と診断し、「将来的に症状が回復する見込みは全くなく、独立して社会生活を送ることは非常に困難」と認定した。

交通事故によって頭に負傷したことが原因で高次脳機能障害となる例は増えつつあるが、見た目は健常者と変わらないために体障害福祉制度の対象にはならない。また、自賠責保険の賠償制度においてもこの症状を後遺障害とは認めておらず、現段階では救済制度が全く無いという状況にある。賠償請求を行う今回の裁判においても、保険会社側は認定されないことを理由に賠償金の支払いを拒んできたという経緯があった。

10日の判決で岡山地裁倉敷支部の中川博文裁判官は、原告男性の症状が交通事故によるものと認定し、「高次脳機能障害により働くことが困難になったことは明らかで、逸失利益などの請求を拒む要素は構成されない」として、被告側に既払い金を除く7300万円あまりの支払いを命じる判決を言い渡した。交通事故を原因とする高次脳機能障害を“事故の後遺症”と認めたのは今回が初めてで、同様の症状に苦しむ被害者に後遺障害認定の道を切り開く画期的な判決となった。

《石田真一》

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