原付バイクに乗った少年が歩行者からハンドバッグをひったくる、という手口は全国に蔓延しており、事件の報道も最近では日常的となったが、こうした事件の被害者に「僕が犯人を追跡します」という申し出をする少年がいたら要注意と大阪府警がアピールしている。これはひったくり犯罪ワースト1という、決して自慢できない記録に悩む大阪府警が過去のひったくり犯罪のデータを集計し、途中経過の形で16日に公表した「犯人グループの巧妙な手口」から明らかになったもの。
バッグを奪われて途方に暮れる被害者に対し、「僕が犯人を追いかけます」と通りがかった少年が助けの手を差し伸べる…なら美談なのだが、実はこの少年はひったくりの共犯者であるケースが多いという。「犯人を追跡してあげる」という選択肢を示すことで、被害者が110番通報を遅らせることが狙いだというのだ。こうした申し出を受けた場合、被害者の感情としては、つい「お願いします」と言ってしまいがちなのだが、そこに落とし穴がある。自分から名乗り出るのだから、共犯としてはみなされにくいという考えもあるようで、このあたりは徐々に巧妙化しているという。
実際、大阪では他の都道府県に先駆けてひったくり犯罪の方法が考案されることが多い。オフロードトライアルの入賞者が大型スクーターで犯行に及ぶというケースもあれば、関西でも有数の進学校に通う生徒が朝の通勤時間帯に犯行に及ぶというケースも報告されている。これまではひったくり=不良少年によるものだったが、最近では誰でもこの犯罪を起こす可能性がある。
また、携帯電話で連絡を取り合い、多人数で連携して実際の犯行、犯人の証拠隠滅、逃走の手助けなどを行うということも。駆けつけた警察官に嘘の目撃証言を伝え、捜査をかく乱するなんてことも最近では珍しくないようだ。
大阪府警では「被害にあったらとにかく自分で110番。不用意に近寄ってくる少年は共犯である可能性を考慮して、現場から離れさせないようにする」といった注意点を挙げている。