消防車+救急車=消救車というアイデアは非常に秀逸だと思うが、実現までに超えなくてはならないハードルの数は多く、そしてその道も非常に険しいようだ。
22日に行われたプレス発表会の席上で設けられた質疑応答では、どう考えても記者ではなく、消防関係者(しかも現場でなく、官僚)としか思えない人たちから、ピンポイントの質問が矢のように飛んでいる。彼らが気にしていたのは「消救車が法的にはどのような位置づけになるのか」ということ、そして「役所の認可も得ないまま現物を作り、発売する気なのか」という点だった。前者はともかく、後者は場違いの発言にも聞こえ、会場から失笑が漏れるほど。
今回展示されたモデルはデモカーということもあり、赤白ツートンに、会社名の「MORITA」という英文字を配置した派手めのデザイン。だが、緊急車両の塗装は「道路運送車両の保安基準」という国土交通省令で定められており、その第49条第2項に「緊急自動車の車体の塗色は、消防自動車にあっては朱色とし、その他の緊急自動車にあっては白色とする」と明記されている。
質問者が気にしたのは正にこの部分で「半々に塗装したのは法令違反でけしからん」というわけ。記者の大半が「デモカーだし…」で納得できていた部分が、杓子定規な役人には我慢できなかったようなのだ。さらにはメーカー関係者が「認可申請はこれから行う」と言ってしまったことで完全にキレてしまった、という感じだろうか。
メーカーは柔軟な思考で全く新しいコンセプトのクルマを出してきたが、「役人の頭が柔らかくならないと、消救車は受け入れられないかもしれない」という不安を感じたのも事実だ。