警察官らしい判断が逮捕への近道に---群馬・栃木猟銃脅迫監禁事件

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栃木県警は23日、今月20日に群馬県内で発生した19歳女性を猟銃で脅して拉致・監禁した事件について、この容疑者の逮捕に貢献した真岡警察署地域課の巡査長とその妻が犯人逮捕に至るまでどのように行動したかなどの詳細を発表した。

警察の発表によると、この警官は22日が非番で、妻と一緒に栃木県足尾町へ渓流釣りに訪れていた。同日午後1時30分ごろ、釣りを終えて帰宅準備をしていた夫妻に猟銃を構えた男が近づき、「日光まで乗せていけ」と脅した。

巡査長は「群馬の事件の容疑者に違いない」とすぐに認識したが、極めて冷静な態度でこの男をクルマに招きいれ、犯人の指示するとおりに走った。この間、犯人からは「群馬の事件を知っているか?」とか、「お前の仕事はなんだ?」などの質問があったが、新聞を読まないので事件は知らないと答え、仕事も会社員ということで押し通した。

犯人の要求は途中で「東京方面に向かえ」に変わり、東北自動車道に入ったが、ここで妻が「トイレに行きたい」と犯人にリクエスト。巡査長も「東京に向かうなら給油が必要」と言い、佐野サービスエリアに立ち寄った。妻は自分の携帯電話を座席に置いたままクルマを離れたが、トイレ近くにいた男性に「監禁されている、警察に通報したいから電話を貸してくれ」と依頼。借りた携帯電話を女性用のトイレに持ち込んで110番通報を行い「真岡署○○の妻です、群馬猟銃事件の犯人に夫と一緒に監禁されています。現在地は佐野サービスエリア。東京方面に向かっており、この後は佐野藤岡で高速を降ります。クルマは栃木ナンバーの白いオデッセイですから手配を願います」などと、必要と思われることを全て通報したという。

クルマは約30分後、佐野藤岡インターチェンジに到着したが、このとき巡査長は後部座席の犯人に向かって「ものすごい数の警官がいて検問している。スモークで中は見えないから伏せていなさい。なんとかごまかすから」と言って犯人を安心させた。犯人が後部座席から降りて隙間に伏せたことを確認すると、その場でエンジン止めてクルマを素早く降り、集中ドアロックを「全閉」にしてから、一番近くにいた捜査員に「後は頼む」とキーを渡し、その場を離れた。犯人は拳銃を装備した15人程度の警察官に包囲され、約3分後に現行犯逮捕されている。

直接の逮捕容疑は巡査長夫妻に対する監禁容疑だが、容疑者にはこの夫妻が警察関係者だということは現時点では知らされていないようで、「本当に悪いことをした。謝っているという意思を伝えてくれ」と取調べ担当の警察官に頼んでいるらしい。警察では群馬の件も含め、厳しく取り調べる方針。

《石田真一》

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