『自動車ロン』著:福野礼一郎
税込み価格1680円 発行:双葉社
「セダンの道」/「スカイライン方程式」/「万能選手破れたり」/「クルマづくりはの“つぎとはぎ”」/「幻の設計図」/「ベンツ基準」/「“走る”“走れ”“走らん”」/「あれってどうなのか」/「不況と賢人」/「さようならゴルフ」/「わかりやすい正論」/「赤いクルマ」/「お姫様の決意」……(目次より)
本書は、孤高の自動車評論家として名高い著者が96年から2000年までに、各誌に書きに書いた自動車評論の中から厳選してまとめたもので、国産車から輸入車までたんなる新車ロードインプレッションではなく、時には歴史を遡り、時にはボーソー体験をふまえ、面白くてしかもためになる読み物として、クルマ好きにはたまらない内容になったと自負しております。……(双葉社より)
「ロン」とは評論、理論などの「ロン」のこと。著者あとがきによれば書きなぐった文章ばかりだそうだが、基本的に著者は正確な知識の上に立って非常に誠実な自動車評論をしていることがわかる。著者の自動車評価の基本は物理法則と人間工学。
ただし「正確な知識」というのには「正しい現実認識」というのも含まれ、すでに著者の文章をお読みなった方はご存じと思うが、氏の文章はいわゆる書生論とは対極に位置する、じつに人間臭い文章なのだ。
トヨタ『センチュリー』の内装、メルセデスベンツ『Aクラス』の横転、トヨタ『MR-S』やマツダ『ロードスター』に関してのスポーツカー論、消防車が赤い理由、本物のフェラーリはどこにあるのか、などなど。毒舌でもキザでもウケねらいでもない、希有な評論。