会期中、出品各社は「底が見えない最悪状態」(蛇川忠暉・日野自動車社長)という厳しい経営環境にもかかわらず、トラック・バスを中心に自動車業界が直面する「環境」「安全」「IT(情報技術)」および「福祉」などの分野に絞り込んで新モデル、先進技術などの“競演”を繰り広げていた。
なかでも、「研究開発費の大半は環境対策につぎ込んでいる」(宇佐美隆・三菱自動車副社長)と、思わず本音を口にするように、最大のテーマは大気汚染を防止する低公害化・低燃費化など環境技術への取り組みだった。
しかも、追い打ちをかけるかのように一般公開に先立ち、29日に行われた報道公開日と、東京地裁から「東京大気汚染訴訟」の判決が言い渡される日とが重なったため、日野やいすゞなどの被告側の自動車メーカー7社は、「例年のようなお祭り気分にはなれない」(いすゞ幹部)などと、重苦しいムードが漂っていたことも事実。ただし、判決そのものは「メーカー責任は問わない」との主張が認められたことで、メーカー関係者は胸をなでおろしていた。