欧州市場の中でも韓国車の人気は高いが、特に東欧地域で好調なセールスを記録している。こうした場所でのライバルは日本車ではない。セアトなどの格安価格をアピールする欧州車。周囲の国々と比べ、まだまだ国民所得が低い東欧諸国ではブランド以上に「使いやすく、壊れない」という実用面が要求される。
韓国車は激烈な価格競争を行なう一方、最近では「環境に良い」ということを積極的にアピールし始めている。その先鋒となるのが小型車『カレンズII』だ。カレンズ自体は韓国内でも販売されており、ソウルショーの開催に先駆けて2003年モデルが発表されたばかりだが、欧州域内で販売されているモデルには、低硫軽油の使用を前提としたコモンレール方式の直噴ディーゼルエンジン「CRDI」を搭載したモデルが用意されている。2.0リットルで115psの出力で実用性十分。ステーションワゴンではコラム式ATを採用。小さい車体ながらも前席と後席の往来も可能にした。
韓国内ではクルマの環境対策が無視されているといっても過言ではない状態にあるが、メーカー自身は仕向け地にあった仕様、その土地が要求する環境対応を果たしたクルマをしっかりと作っている。今回このクルマをショーに持ち込んだということは、これまでパワー一辺倒だった韓国のクルマ社会が変えなくてはならないという、キアからの隠れたメッセージかもしれない。