ホンダ『フィット・アリア』の内装は、スモールカーとは思えない上品な色合いのブラウンを基調としている。基本的な意匠はほぼ同一だが、『フィット』がカジュアル志向なら、アリアはフォーマル志向といった感じだ。
和光研究所でアリアのインテリアデザインを担当した橋本栄子さんは「濃淡を適切に使い分けることで高級感を醸し出した」と説明する。ダッシュボードの上半分を濃く、下半分を薄くすることでアクセントをつけ、メーターやスイッチ類の見易さも確保しているという。濃淡でアクセントを付けることについては徹底的に行われており、シートのモケットも濃淡を取り混ぜたものとなっている。
日本に持ち込まれるのはブラウンを基調とした温かみのあるものだが、タイを中心としたアジア圏で販売される『シティ』には、グレーを基調とした内装も用意される。こちらは地元からの要望が強くて実現したというが、気温の高い国々だけに「見た目がクールに見えることが要求された」と橋本さんは言う。
インテリアデザインも日本で行われており、タイ側の生産スタッフからは「グレー基調を入れてください」以外のリクエストは特になかったが、現地でも好評だとか。日本とタイは昔から友好関係にあるが、消費者の志向も似ているらしい。