北海道警は10日、運送会社の倉庫に保管されていた新品のタイヤを盗み出し、ロシアなどに転売していたとして、札幌市内に住む男7人(少年3人含む)を窃盗容疑で逮捕したことを明らかにした。それぞれ役割を厳密に分担した組織的な手口で犯行を繰り返しており、約50件の盗難事件に関与しているものとみられる。
北海道警の捜査3課、札幌厚別署、栗山署などの調べによると、このグループは今年4月から9月までの間、道央エリアを中心に運送会社の倉庫に保管されていた新品のタイヤを盗んでいたとみられる。札幌市や苫小牧市などでは「倉庫に保管していた新品タイヤが消える」という盗難事件が相次いでおり、警察の認知件数だけで50件を超え、被害総額も1000万円をすでにオーバーしている。被害は冬用のタイヤのみに限られ、しかも一度に盗まれる本数は数十本単位。量販店から運送会社の倉庫に戻されるスタッドレスタイヤにのみ的を絞り、保管した場所をピンポイントで襲撃されるなど、その手口は似通っていることから「同一犯によるもの」とみて警戒を強めてきた。
犯行グループは謎に包まれていたが、暴力団員で構成される別のタイヤ窃盗団が逮捕され、ロシアへの売却ルートの解明を進めていたところ、もうひとつのグループの存在が浮上。その結果、今回逮捕された7人の犯行関与に結びつく証拠も見つかり、逮捕に至ったようだ。
逮捕された7人は容疑をおおむむ認めており、グループ内で情報収集役、実行役、バイヤーとの交渉担当など、厳密に役割を分担していたと供述している。
対ロシア向けの盗難品不正輸出の主役はこれまで中古車だったが、税関当局の監視が厳しくなってきたため、最近では自動車部品にスイッチされつつあるという。個々に製品番号が表示されていないパーツ類では摘発が難しく、それゆえにロシア人バイヤーが確実に買い付けるため、国内の犯罪組織が一斉に部品の横流しにスイッチしたという見方も。今回のタイヤ盗難もそこに関連があるものとみられるが、警察ではこうした品の不正輸出を水際で阻止するため、税関などとも連携して取り締まりを強化していく方針。