『KAZ』のプロジェクトは慶應義塾大学の清水浩教授がメインとなり、文部科学省の特殊法人である日本科学技術振興事業団から5年で5億円の予算を得て行われているもの。大手自動車メーカーが新車開発に数百億円投じるのと比べれば、破格の安さではないだろうか。
実は、教授が手がけたのは「KAZ」だけではない。最初のプロジェクトは20年前にまでさかのぼる。1983年に『A-car』、翌84年に『B-car』、90年『NAV』、91年『IZA』、97年『ルシオール』と5台の電気自動車を開発してきた。
市販化を考えた場合、ルシオールで一般に買える価格で量産することは難しい。しかし、高価格で大きなクルマの場合、多くの台数を売らずとも採算が取れるという思惑から、「KAZ」がリムジンタイプのラグジュアリーカーとして展開されるようになったのだ。
ところで、「KAZ」は「Keio University Advanced Zero-Emission Vehicle」の頭文字をとったもので、漢字では「和」と表記する。