5日、東京都江戸川区のデザイン専門学校TCA(東京コミュニケーションアート)において、日産自動車の中村史郎デザイン本部長兼常務取締役が特別講義を行なった。講義は学生の質問に中村本部長が答える形で進行した。
学生:中村さんは若い頃、アメリカのデザイン大学であるアートセンターに留学なさってますが、どんな学校ですか。
中村:厳しいところでした。とにかく課題の制作が多いんです。宿題も多い。学生はみんな集中して勉強していましたね。自分の才能を限界まで発揮して競争しています。作品の発表前は徹夜の連続で、体力の限界への挑戦でもありました。これは企業でも同じですね。
日本の4年生大学のデザイン課程だと自動車以外のデザインを志望する学生もいて、自動車デザイン専門の教育を受けられるわけじゃありません。アートセンターのトランスポーテーション科ではみんなカーデザイナー志望です。また高卒で入学する学生は少なくて、ほかの大学を卒業したり、一度就職してから入学する学生が多かったですね。その点は、ここTCAと似ています。
今でこそカーデザインの専門学校は世界各国にありますが、私がいた80年前後はアートセンターが数少ない例で、カーデザイナー志望者が世界中から集まっていました。世界のトップレベルが分かったのはいい経験でした。