「過労」の基準を教えてくれと弁護人---運行管理者の責任は問えるか?

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昨年8月、三重県鈴鹿市内の東名阪自動車道で起きた過労運転が原因の多重衝突事故で、事故を起こした運転手に過酷な勤務を強いたことで道路交通法違反(過労運転容認)の罪に問われた運行管理者2人に対する論告求刑公判が21日、津地裁で開かれた。検察側はそれぞれに懲役1年を求刑している。

問題の事故は昨年8月10日に発生した。帰省ラッシュに伴う渋滞が発生していた鈴鹿市内の東名阪自動車道で、極度の連続勤務によって過労状態に陥って居眠り運転をしていた大型トラックが渋滞中の車列に減速しないまま追突。4台が関係する多重衝突事故となった。クルマが大きく破損したことで生じた車両火災により、逃げ遅れた5人が焼死、6人が重軽傷を負った。

事故の原因は追突してきた大型トラックを運転していた男の居眠り運転だったが、この運転手は事故前の3日間に茨城県日立市と大阪を往復するという過酷な労働を行っており、その間は数時間の睡眠しか取っていなかった。

警察では事故の背景には過酷な勤務を命じていた運送会社の責任もあると判断。家宅捜索で押収した資料を分析した結果、この会社が恒常的に長距離運転の必要な連続勤務を命じ、運転者に対する休憩の指導を怠ってきたことが判明したため、道交法違反(過労運転容認)で運転手が勤務する運送会社の運行管理者と配車担当係長の2人を逮捕。後に同罪で起訴されていた。

21日の論告求刑公判で検察側は「タコグラフから正常な運転は不可能であると知りながら、会社は依頼された輸送を優先させた」と主張。「2人は罪を認めているが、実刑で最も重い罰を科すのが相当である」として、それぞれに懲役1年を求刑した。

これに対して弁護側は「過労の基準というものが定められておらず、何をもって過労とするのかが不明で論点に成り得ない」として執行猶予付きの判決を求めている。

《石田真一》

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