ひき逃げでも「未必の殺意」があれば殺人罪---最高裁

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事故の被害者をクルマの下敷きにした状態で、クルマでの前後移動を数度繰り返したことから「未必の殺意があった」とみなされ、殺人罪に問われていた23歳の暴力団に対し、最高裁第三小法廷は20日、被告の上告を棄却する決定を出した。被告は一審と二審で懲役11年を言い渡されているが、今回の上告棄却によってこれが確定することになる。

問題の事故は2001年3月19日に起きた。東京都板橋区内の国道254号線で渋滞待ちを嫌い、対向車線を走ってきた23歳の暴力団員が運転するクルマと、30歳の会社員が運転するバイクが正面衝突した。

会社員はクルマの下敷きになったが、暴力団員は「ぶつかってきたやつ、下に挟まってまだ生きているらしいぞ」という同乗者の声を無視し、クルマを数回に渡って前後させるなどして被害者の腹部を踏み潰し、そのまま逃走した。会社員は内臓破裂によって死亡したが、その原因は腹部を圧迫されたことにあったという。事故で受けた傷は軽微なものだった。

男は後にひき逃げ容疑で逮捕されるが、警察の取り調べに対しては「別の事件で執行猶予中で、事故を起こしたことぐらいで刑務所行きになるのは避けたかった。下敷きになったやつは死ぬかもしれないと思ったが、それよりも自分のことが重要だった」と供述。

相手が死ぬかもしれないということを認知しつつ、逃走するために数度に渡ってクルマを前後させたことが「未必の殺意」に当たるとして殺人罪を適用、検察もこれを支持してきた。

一審の東京地裁、二審の東京高裁とも「極めて悪質な犯行。殺人罪は成立する」として、被告に懲役11年を言い渡していたが、被告側は「明確な殺意は無いことが判明してるのに殺人罪を適用するのはおかしい」として、罪名適用の是非を確認する目的で最高裁に上告していた。

今回、最高裁が上告を棄却したことで、同様の事件が発生した場合には「未必の故意による殺人」が適用される可能性がさらに高まった。

《石田真一》

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