トヨタの役員報酬は1982年から“ベアなし”

自動車 ビジネス 企業動向

日産自動車が、役員報酬の上限を現行の15億円から20億円に引き上げる定款変更を株主総会に提案することになったが、対照的にトヨタ自動車の役員報酬のつましさが浮かび上がってくる。

トヨタの定款では取締役の報酬総額は年間15億6000万円と定められている。しかも、この上限はトヨタ自工とトヨタ自販が合併した1982年の臨時総会で定められたものが、そのまま生きているのだ。トヨタはここ2年の春闘で組合員のベアをゼロにしたが、役員報酬の上限は21年間にわたって「ベアなし」、今年の株主総会でも「ベア」の提案はしない。

トヨタのある役員は、「当社は現場主導でカイゼンを重ねる会社。役員になったからといって報酬が極端に多くなれば現場の士気はどうなりますか?」と説明する。つまり、常に現場のモラールを重視するため、役員報酬はそこそこにというわけだ。

しかも、現在24人いるヒラ取締役は商法上の「使用人兼取締役」であり、賞与の大半と報酬の一部は従業員としての給与で支給されている。これは、課税後の「利益処分」から支給される役員賞与の総額を抑制、できるだけ内部留保や株主配当を厚みにするための措置ともいう。

巨額の報酬で役員を鼓舞しようとする日産流と、現場重視を変えないトヨタ流——両極の企業統治スタイルで走ることになった両社の今後が見ものだ。

《池原照雄》

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