一審は6年、二審は何年? 阪神高速の施工ミス訴訟

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1995年1月に発生した阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)で阪神高速・神戸線の高架橋脚が倒壊し、当時51歳の男性が死亡したのは「橋脚に施工ミスが生じ、必要な強度が確保されていなかったからだ」と、阪神高速道路公団を相手に総額6900万円の損害賠償を求める民事訴訟の控訴審の第一回口頭弁論が2日、大阪高裁で行われた。

原告は「倒壊現場付近の揺れは震度5程度で、周囲の木造住宅は倒壊しておらず、施工ミスは明らか」と主張している。

同日の午前5時46分すぎに発生した大地震で神戸線の高架橋脚が倒壊。現場を走行していた原告の長男(当時51歳)をはじめ、16人が倒壊の犠牲になり死亡した。原告は「大震災の規模は事前予測の範囲内だったにも関わらず、施工ミスによる橋脚の強度不足など、公団側の落ち度が原因だ」と主張し、総額9200万円の損害賠償を求めて提訴していた。

一審の神戸地裁尼崎支部は「橋脚の鉄筋もコンクリートも必要な強度を満たし、基準通り施工されていた」と公団側の主張を全面的に認め、「倒壊は想定を上回る地震の結果で、橋脚には欠陥も管理の不備も認められない」として、原告の請求を棄却。これを不服とした原告が控訴していた。

控訴審の第一回口頭弁論では、遺族厚生年金などが支払われたために請求額を6900万円に変更したことが報告されたが、原告側は弁論の柱となる主張ついては変更せず、「倒壊現場付近の揺れは震度5程度であり、付近の木造住宅でも倒壊したものはなく、公団が主張してきた“想定外の揺れ”とは言えない。施工ミスや必要な補修を怠った公団の過失を認めなかった一審判決には証拠評価の誤りがある」などとして公団側の責任をあらためて訴えた。

また、死亡した男性の母親も「一審判決は高速道路の料金を支払って高速道路を利用する国民の命や安全については何も考えていないように思います。一審で解明されなかった問題を十分審理していただくようお願いします」という内容の意見陳述を行っている。

一審は提訴から判決まで6年を要し、裁判官の交代も相次いだ。証拠調べを実際に行なった裁判官は判決の段階では誰もおらず、裁判長は過去の記録を見ながら判決を書くという状態になっていた。

《石田真一》

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