名古屋鉄道は3日、路線バスの運転手が1年4カ月も無免許のまま乗務を続けていた問題で、同社の自動車事業本部副本部長を務める取締役が、事態についての報告を本社の担当課長から受けた際、この課長から「聞かなかったことにしてください」と言われ、黙認していたことを明らかにした。
また、別の部長が中部運輸局に提出する書類の内容を改ざんし、事実と異なる報告を行うことも知りながら、これも黙認していたこともわかった。
これらの結果から、今回の不祥事隠蔽は営業所レベルではなく、本社の上層部が関与していたという疑いがさらに強まった。
これは名古屋鉄道が会見で明らかにしたもの。同社によると岡崎統括自動車営業所に所属するバス運転手が無免許で乗務を続けていたことが事故を発端に発覚した翌日の今年2月20日、営業所長から報告を受けた自動車事業本部の担当課長は事態を副本部長を務める取締役に報告した。
しかし、この課長はその場で「この報告は聞かなかったことにしてください」ともみ消しを匂わせる発言を行ったが、副本部長はこれについて言及せず、黙認を容認した。
当初、同社では「営業所長からの報告は担当課長が握り潰し、会社の上層部には伝わっていなかった」とコメントしていたが、実際には「上層部が事態を早い段階で把握していた」ということになり、その事実を会社がさらに隠蔽しようとしていたということにもなる。
さらに、中部運輸局に提出した無免許発覚までの経緯についても改ざん疑惑が持ち上がった。本社の担当部長は営業所に対して「運転手が無免許であることに気づいたのが運行途中ということは問題があるので、営業所に帰ってから気づいたことにしよう」と具体的な改ざんを指示していたという。
同社ではこの副本部長は引責辞任すると同日発表、他にも11人が社内処分を受けると公表しているが、国土交通省・中部運輸局はこの事実を4日中に確認するとしており、検討中の処分がさらに重くなる可能性も出てきた。