平均120km/h、過労運転を前提---兵庫県警が強制捜査

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兵庫県警は10日、トラック運転手に対して速度超過や過労運転を前提としたスケジュールによる輸送を命じていたとして、県外を含む運送会社4社に対して道路交通法違反(過労運転下命・容認)の疑いで家宅捜索を実施したことを明らかにした。

4社とも過労運転による事故は起こしていないが、速度違反で逮捕されたドライバーの聴取から過酷な労働実態が明らかになったため、強制捜査に着手したとコメントしている。

兵庫県警・交通捜査課、同・高速隊によると、今回強制捜査の対象となったのは、兵庫県西区、横浜市金沢区、愛媛県新居浜市、千葉県佐倉市などを拠点に営業する4社。調べによると、この4社は勤務するトラック運転手に対して、速度超過による移動や、休憩時間が少なく過労運転を生じさせやすい運行スケジュールを強制していた疑いがもたれている。

4社に勤務するトラック運転手はいずれも過労運転を要因とする交通事故は起こしていないものの、速度超過で検挙されたことが数度あり、その度に「会社が無茶なスケジュールを押し付ける。スピード違反を前提に走らないと眠る時間が無くなる」などと供述。

実際のスケジュールも120km/h程度の速度を維持しないと指定時間までに到着できないものがあったほか、「福岡〜大阪間の600kmを高速道路を使わずに18時間で往復しろ」と命じたり、「岡山〜埼玉間の780kmを17時間で」と命じたケースもあった。

渋滞などによる到着遅れが生じた場合には会社側から罰金を名目にした給与天引きが行われるため、食事や睡眠の時間を削って移動するケースなどが目立っており、検挙した全員が「月に数度は居眠り状態になって、事故を起こしそうになった」とも供述していた。

このため県警では「現状では過労運転による事故を起こしていないものの、移動スケジュールには過労運転や速度超過を容認したものがある」と判断。道交法違反(過労運転下命・容認)での強制調査を行い、運行日誌などを押収して実態を調べることになった。

事故を起こす前の強制捜査は異例だが、県警では「トラック運転手の供述から恒常的に過労運転が強要されていたことはほぼ間違いない」としている。

《石田真一》

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