暴走消防車---AT車から降りるときの大前提は?

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北九州市消防局は10日、ATのシフトレバーをDレンジに入れたまま消防車を放置し、暴走させて無関係な家屋を破壊したとして、31歳の消防士に対して減給10分の1を1カ月という懲戒処分に科したことを明らかにした。上司2人も監督責任を問われ、戒告処分を受けている。

北九州市消防局の調べによると、この消防士は今年1月30日、北九州市小倉北区で発生した建物火災の消火活動に従事した際、オートマチックトランスミッション(AT)を搭載した小型消防車を、走行可能なDレンジに入れたまま放置した疑いが持たれている。

消防士は運転席から降りる際にサイドブレーキを掛けたが、シフトレバーをPレンジではなく、Dレンジに入れたまま消火作業に入った。消防車の側面に回り、放水用のポンプを動作させたところ、消防車が突然発進。無人のまま約45mを暴走し、正面方向にあった店舗2件の軒先を破壊して停止。屋内にいた女性1人に軽傷を負わせている。

当初は誤作動と思われたが、駆けつけた警察官がDレンジに入れっ放しになっていることを発見。運転者の過失と判断された。この消防車の放水用ポンプはクルマのエンジン出力に依存しており、ポンプの出力を上げると同時にエンジン出力も上がり、Dレンジのままだったということもあり、アクセルを踏んだのと同じ状態になってしまったらしい。

この消防士は業務上過失傷害容疑で検挙され、後に書類送検されたが、福岡地検小倉支部は「緊急時に生じた事故で、過失責任は小さい」として起訴猶予処分にしている。また、消防車が突っ込んで破壊した店舗の所有者と負傷者に対しては、示談金600万円あまりを市が払うことで示談も成立している。残るは消防士本人に対する懲戒処分実施だけとなり、それが10日に言い渡された。

消防局では事件発生直後から「クルマを降りるときにはPレンジに入れ、サイドブレーキを強く引くことを徹底させたい」とコメントしていたが、AT車を駐車するときの大前提が守れないほど現場の状況は緊迫していたというわけだ……。

《石田真一》

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