名古屋鉄道バスの運転手が1年4カ月に渡って無免許のまま乗務を続けていた問題で、愛知県警は15日、警察に対して虚偽の報告書を提出するように命じていた本社勤務の49歳元企画管理部長と、指示に従って虚偽の報告書を作成した岡崎統括自動車営業所の45歳前所長の2人を犯人隠避容疑で逮捕したことを明らかにした。一連の事件で本社の幹部社員が逮捕されたのは今回が初めてとなる。
愛知県警・交通指導課、同・岡崎署の調べによると、本社勤務だった元企画管理部長は無免許だった運転手が会社にその事実を報告した場所について、本来は事故に遭ったバス停だったにも関わらず、岡崎統括自動車営業所の運行管理者らがが終点まで乗務するように指示していたことを知り、「途中で気がついたことを認めれば、会社が無免許運転を容認していたことになる。終点のバス停あるいは営業所内で気がついたことにしないとダメだ」と主張。
岡崎統括自動車営業所の所長に対して「警察に提出する書類は終点以降に気がついたことにしておけ」と命じ、所長もこの指示に従って虚偽の報告書を作成した疑いが持たれている。
この所長は無免許運転が発覚した今年2月、犯人隠避容疑で逮捕・起訴されている運行管理者らがトラブルの隠蔽工作を行っていたことを知っており、警察ではその状況を知りながら、虚偽の報告書作成に加担したことは犯人隠避行為に当たると、今回の逮捕に踏み切った理由を説明している。
名鉄側は会社上層部が隠蔽工作に関与したことは全面的に認めているが、本社勤務の幹部社員から逮捕者が出たのは今回が初めて。県警ではさらに捜査を進め、今後は法人としての名古屋鉄道を送検することも視野に入れているようだ。