脱糞男を止められなかった警官に処分

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建造物侵入容疑の現行犯で逮捕した男が警察署に移送中のパトカー車内で脱糞し、異臭を逃すために開けた窓から容疑者が逃走した問題で、北海道警は15日、容疑者の隣に座っていた千歳署の53歳警部補に戒告の懲戒処分を実施したことを明らかにした。パトカーを運転していた40歳の巡査長と、助手席にいた39歳巡査長も署長注意の処分を受けている。

この事件は6月22日の未明に発生している。北海道千歳市上長都にある建設重機リース会社の事務所に何者かが侵入したらしいと、警備会社から110番通報が寄せられた。現場を管轄する千歳署は地域課員3人を派遣。会社の敷地内にいた男を建造物侵入の現行犯で逮捕した。

3人の警官は男を千歳署に移送しようとパトカーに乗せたが、逮捕した男は車内で突然脱糞。その異臭に耐えかねた警察官がパトカーの窓を開けたところ、男は50km/hで走行しているパトカーから身を翻すようにして窓から外に逃げ出した。

その後、男は逃走場所の近くでワゴン車を盗み出し、札幌市西区内の自宅で着替えた後、恵庭市内の鉄工所で手錠を切断。その後に函館方面に逃走を図った。男はパトカーと森町内でカーチェイスを行うなどしたが、25日に札幌行きの特急列車車内で逮捕されている。

北海道警・監察課は22日の事件発生当時にパトカーへ乗っていた3人の警察官から事情を聞いていたが、規定では「容疑者の左右を警官で挟んで身動きを取れなくする」としているにも関わらず、男が逃走を行った際は後部座席には1人の警官しか座っていなかった。また、異臭を逃すために開け放った窓も容疑者側であり、ティッシュペーパーなどを前席から受け取る際に目を離していたため、当初は1/3程度開けていた窓を容疑者本人が全開にするチャンスを与えてしまったと断定した。

後席にいた警部補は監察課の事情聴取に対して「容疑者は逮捕直後は相当暴れていたが、パトカーに乗せた後は静かになったので大丈夫と思った。これまでの経験から逃走するとは思えず、結果的に油断してしまった」と、容疑者の観察に不手際があったことを認めた。

このため道警ではこの警部補に対して、戒告の懲戒処分を実施。同乗していた2警官は署長注意とした。3人が所属する部署の上司に対しては「事件発生の予見性は全くなかった」として処分実施を見送っている。

道警では処分実施に合わせ、道内の全警察署に「容疑者は左右から2人の警官で挟みこむ」、「手錠だけでなく衣服に腰縄も付ける」、「後部座席に座る警官が1人の場合、何が起きても窓は開けない」などの移送ルールの徹底を命じている。

《石田真一》

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