和歌山県警は5日、二輪車による速度超過や、暴走族に対する取り締まりを強化するため、通常のバイクと同じカラーリングの覆面車両「黒バイ」を、ツーリングするライダーが多く集まる国道42号線に投入していることを明らかにした。
8月中は田辺、白浜の両署管内を走っているとされているが、他地域にも進行することがあり、警察では「油断しない方がいいですよ」と呼びかけている。
和歌山県警の所有する黒バイは昨年4月に県警本部内に発足した暴走族対策室が所有。実際の運用は県警の交通機動隊が行っている。黒い塗装のため、一見すると市販車と大差ないように見えるが、車体の前部に各種カメラを装備。速度超過や暴走の様子を撮影できるようになっている。白バイと違って夜間の出動も想定しており、和歌山県内であれば管轄制限にも縛られない。
週末などにはツーリングを続けるバイクに混じって走行したり、あるいは暴走族のバイクを追走するように走るなどして違反の証拠を収集。別チームと連携しながらターゲットを追い詰めていく。配置後の1年間で141件の違反摘発を行い、和歌山市周辺を拠点とする暴走族は確実に減少したという。
夏の行楽シーズンは海水浴場がある地域を重点的にパトロールするが、「田辺、白浜の両署を基地として、国道42号線を中心に走る」というヒントが明かされているのみで、どこにいつ現れるというのはもちろん非公開。
この時期はツーリングを目的に他県から訪れるライダーも多く、黒バイがターゲットとするのはこうした県外ライダーがメインになっているとみられる。また、観光客が多く集まるため、ナンパを目的としたトラブルも例年数多く発生することから、ナンパ目的のクルマが集まる駐車場なども警戒対象に含めるとしている。
正に神出鬼没の黒バイだが、警察では「制限速度を守って安全運転していれば心配ありません」とコメントしており、出会いたくないという人は交通ルールを厳守した方が良さそうだ。