【スマートプレート】ICチップで可能なことと、それができない理由

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【スマートプレート】ICチップで可能なことと、それができない理由
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■これだけではない普及の“障害”

とは言え、セキュリティやプライバシーは、暗号を強化したり、ETCのように第3者機関(と言っても、役所の天下りという新たな問題が生まれるが)を設置するなどの保護措置をとれば解消されるはず。スマートプレートの普及を難しくしている問題は他にもある。

それは「使い道がない」という、まるで冗談のような話だ。正確には「電子化による費用負担を国民に納得させるだけのメリットが見当たらない」ということになろう。なにせ、ICチップに入る公的情報はナンバー情報(車検証情報)だけ。

商用システムのIDとして使う場合、友人のクルマを借りている場合や法人名義のクルマは、正確な利用者を特定できない。車両の寸法や重量、排ガス規制適合の有無などは正確に特定できるが、こうした情報は物流や駐車場など一部をのぞけば、大した利用価値がない。

いくら国が「ナンバーはITS社会のインフラ」と強調して見せても、ITS商用サービスと連携した“目に見える形”で装着義務づけを進めるメリットが見当たらないのだ。1枚1000円と言われる装着費用も無視できない。

このため、国交省は「装着義務づけ」のメリットをあまり宣伝せず、物流分野など利用ニーズがある車両から順次、スマートプレートを取り付ける“ソフト路線”に転換しつつある。

しかし、GPSや画像認識技術が進み、ETCなど他のDSRC製品も普及しつつある現在、果たして税金を使ってナンバーまで電子化する必要があるのだろうか。これまで「計画が動き出したら止まらない」と言われていた公共事業も中止が相次いでいる。

ITS社会の費用対効果をにらみ、スマートプレートも、例えば第2世代ETCと統合するとか、あるいは“勇気ある撤退”も視野に入れた計画の見直しが、国土交通省に求められているのではないだろうか。

1/3■ETCとの違いは
2/3■遅々として進まない実用化
3/3■これだけではない普及の“障害”

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《編集部》

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