【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)

自動車 社会 社会
【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編)
【緊急小谷レポート】新道交法改正試案発表、その恐るべき中身とは!!(完結編) 全 8 枚 拡大写真

■違反金未納者は車検拒否

 
それではクルマの使用者が、公安委員会からの違反金納付命令を無視して支払わないとどうなってしまうのか。そんな疑問に対して試案は明解に答えてくれる。

「違反金納付命令を受けた使用者が違反金を滞納する場合は、地方税の滞納処分の例により徴収することができることとします。」

つまり税金の滞納等と同じく、給与や財産からの差し押さえが可能なのである。しかし差し押さえを待つまでもなく、ほとんどの使用者は違反金を支払わざるをえないハメになるだろう。というのも・・・

「違反金を滞納して督促を受けている使用者が、納付命令の原因となる違反をした車両について自動車検査に係る処分(車検)を受けようとするときは、違反金を納付したことを証する書面を提示しなければならないこととし、書面の提示がない限り自動車検査に係る処分(車検)を拒否することとして違反金の徴収を担保します。」

すなわち自動車税の滞納と同様に、違反金を支払わないと車検を受けられないシステムにするのだというのだ。

あるいは、こんな疑問もでてくる。
 
「カネで解決するのなら簡単と」という金持ちドライバーが運転者責任を放棄して、使用者責任だけを全うしようとしたらどうなのか。すなわち「反則金を払わない」ないしは「出頭しない」を繰り返すが、使用者への違反金納付命令にだけは従順に従うというケースだ。

この場合、運転者の特定がないので、点数のつけようがなく、いくら違反を繰り返しても免許停止など行政処分から免れることが可能になる。「カネは惜しくないが免停は手痛い」というドライバーはいくらでも存在することだろう。

だとすれば違反金は、免停から逃れたいドライバーたちの「法の抜け穴」になってしまう。一応、試案では・・・

「自動車の使用者が一定回数以上繰り返して違反金納付命令を受けた場合、その使用者に対して、3月を超えない範囲内で期間を定めて、自動車を運転し又は運転させてはならないことを命ずることができることとします。」

と、なっており、違反金納付命令を繰り返し受けた使用者には、3ケ月以内の「自動車使用禁止」=「クルマの免停」を課すことがでるきとしている。しかし、そのような駐車違反の常習犯はともかくとして、あと2点で免停になってしまうといったドライバーが、仮に駐車違反の対象になったとして、運転者の責任を問う反則金を納めずに、使用者としての責任である違反金で済ませようとすれば、免停にならずに済むのである。

これは明らかに法の抜け道というものではないのか。それとも違反金とは、「カネなら惜しくない」などと言わせることのできないような「高額違反金」を想定しているということなのか。

ただし、いずれの場合にしても、警察側からしたら、「反則金」だろうと「違反金」だろうと、「カネの取りっぱぐれをいかになくするか」に腐心しているという一点におては何ら違いはないのである。

すなわち、今回の改正道交法においては、「駐車違反をどう減少させていくかと」か、「取締りや規制の在り方をどうするか」といった本質的な部分はスッポリと抜け落ち、「どうやって団塊世代の定年退職者を再就職させるのか」「いかに、カネのとりっぱくれがなくするか」について、いかに重点がおかれているのかが、ご理解いただけたと思う。

今回の試案にある「駐車違反取締りの民間委託」「行政制裁金=違反金の導入」はともに、「違法駐車対策の推進」としてくくられているが、「駐車違反ビジネスの推進」に改めたほうが内容にふさわしいのではないか、と私は結論づけたい。

  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3
  5. 4
  6. 5

《小谷洋之》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  2. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  3. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  4. 「盤石シャシー」に「戦甲車体」採用、ワイルドすぎるオフロードSUVが1時間で9700台受注の人気に
  5. 585万円で発売の軽キャンピングカーに注目…7月の新型車ランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る