冷静な回避操作ではなく、実は慌てて操作か

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熊本検察審査会は20日、2002年3月に熊本県熊本市内で発生した交通事故について、検察が「事故回避のためにハンドル操作を行った」としていた24歳の男に対し、検察の不起訴判断を不当(不起訴不当)とする議決を14日に行ったことを明らかにした。

熊本地検はこの決定を受け、再捜査を開始する方針を固めている。

問題の交通事故は2002年3月1日に発生している。熊本市坪井4丁目付近の国道3号線の交差点で、右折をしようとしていた20歳男性の運転するバイクと、当時24歳の男が運転するトラックが出会い頭に衝突した。

この事故でバイクを運転していた男性は全身を強く打ち、収容先の病院で3日後に死亡。トラックを運転していた男は業務上過失致死容疑で逮捕された。

男は警察の取り調べに対し、「男性は右折を始めず、直進する素振りを見せたため、事故を回避する目的でハンドルを右に切った。結果として男性をはねてしまった」と供述。

検察はこの供述のうち、「事故を回避する目的だった」という部分を重要視。「対向車との衝突を防止しようとした合理的な回避措置で、刑事責任を問えない」として、嫌疑不十分のまま2002年12月までに男を不起訴処分とした。

しかし、この判断に遺族が反発。2003年8月に検察審査会へ審査の申し立てを行うとともに、10月には再捜査を求める5万人分の署名と一緒に上申書を熊本地検に提出していた。

検察審査会では事故の状況を調査してきたが、その結果として男が供述した「衝突回避を目的としたハンドル操作」という供述が、自己保身のために後付けされた可能性が高いことを指摘した。

男は「右折しようとしていた」と供述していたが、実際には交差点を直進しようとしていたことが目撃情報からも判明。

回避のためにハンドル操作を行ったのではなく、「高速度で漫然走行を行っていた結果、右折しようとしていたバイクの発見が遅れ、これに驚いて反射的にハンドルを切った可能性が極めて高いのではないかという疑問を禁じえない」という議決を行った。

検察は今回の議決を受けて、再捜査を行うとしている。

《石田真一》

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