慰謝料の命日分割払い、地方の裁判所はどう判断

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飲酒運転の軽トラックにひかれて死亡した当時7歳の女児の遺族が、事故起こした運転手に対して総額約5300万円の賠償請求を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が27日、盛岡地裁二戸支部で行われた。

遺族側は逸失利益については分割して女児の命日に支払うことを求めているが、被告側はこうした請求方法の棄却を求めている。

この事故は2000年11月28日の午前7時30分ごろに発生している。岩手県二戸市福岡付近の県道で、集団登校中の小学生の列に軽トラックが減速しないまま対向車線をオーバーし、前方から突っ込んで児童を次々になぎ倒した。

この事故で7歳の女児ら2人が死亡、女児の兄を含む6人が重軽傷を負った。

クルマを運転していた男は居眠りをしており、事故を起こしたことには衝撃で気がついたという。駆けつけた警察官が男からアルコール臭が漂っていることに気づき、検査した結果、呼気1リットルあたり0.35ミリグラムのアルコールを検知。

業務上過失致死傷と道路交通法違反(酒気帯び運転)で逮捕・起訴された。刑事裁判はすでに終了しており、懲役4年の刑が確定している。

死亡した女児の遺族は慰謝料や逸失利益を求めるだけではなく、自分の妹が死ぬ様子を至近距離で目撃し、現在もフラッシュバックに悩まされている2人の兄弟も事故の被害者とみなし、合わせて約5300万円を加害者側に求める民事訴訟を昨年末に起こした。

また、加害者に事故の記憶を風化させないことを目的に、全体の請求額のうち逸失利益の部分については分割し、毎年11月28日(女児の命日)に支払うことを求めた。

27日に開かれた第1回口頭弁論で、加害者側の代理人は女児に対しての慰謝料については支払う意思を見せたものの、兄弟が受けた精神的苦痛(それぞれに550万円)部分については請求を棄却するように求めた。

また、逸失利益部分の分割払いについても「定期払いの合理的な必要性は認められない」として算定方法の変更と、適切な賠償額での認定を求めている。

以前は「懲罰的賠償にあたる」として、命日などに分割して慰謝料を納付するという方法は認められなかったが、ここ数年は増加する傾向にある。ただし、これまでのケースは東京地裁に集中しており、盛岡地裁二戸支部がどのような判断を行うのか注目される。

《石田真一》

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