捜査をちゃんとしているんですか? ……検察が担当を交代

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交通事故の捜査を長期間に渡って放置するだけでなく、正式な処分が決定する以前に加害者の出国を見逃した副検事の対応に不審を感じた遺族が、担当者の交代を大阪高検に訴え、この申し入れが受け入れられた。

これまで事件を担当していた神戸地検尼崎支部に代わり、遺族の申し入れを受ける形で神戸地検の本庁が担当を受け継ぐ決定をしていたことが18日、明らかになった。

兵庫県警察本部によると、問題の事故は2002年10月28日の夜に発生。同日の午後8時30分ごろ、芦屋市内の国道2号線の交差点で、直進していたバイクと右折しようとしていた乗用車が出会い頭に衝突した。この事故でバイクを運転していた当時21歳の男性は事故から24日に脳内出血が原因で死亡している。

加害者となった当時22歳の女は警察の取り調べに対し、「バイクが赤信号で停車していたクルマの間をすり抜けるように進行してきた」と供述。事故がバイク側の信号無視によるものと主張した。

ところが女の運転する後続を走っていて事故を目撃したドライバーは「衝突したクルマは対向車線から最短距離で右折しようとしていた」と供述。さらには「停止車両などは存在せず、バイクが走ってくる様子はかなり遠方からも確認できた」とも供述した。

また、警察が現場付近の信号パターンを調べたところ、女の供述を採用した場合でもバイク側が青であったことが判明。さらには事故を起こしたクルマに残った痕跡からも、ほぼ正面衝突の状態だったこともわかった。

こうした結果から警察では女を業務上過失致死容疑で2003年3月に書類送検。以後は神戸地検尼崎支部で取り調べが行われることになった。

地検による加害者の取り調べは2003年5月に行われたが、以後は本人に対しての聴取は行われず、目撃者の供述と照らし合わせるために昨年12月に再度呼び出したところ、留学のために海外に出国していたことがわかった。

公判が開始されていないので海外逃亡には当たらないが、事件の容疑者が捜査中に出国し、本人と連絡が取れなくなるというのは非常に稀なケースだという。

こうした事実の連絡についても、検察は発覚した段階で知らせるのではなく、約1カ月のブランクを置いて遺族に連絡している。

遺族は加害者の罪状がいつまで経っても決着しないことに苛立ちを見せていたが、海外への出国を許すという不手際が起きたことで怒りは頂点に達し、大阪高検に対して検察側担当者の交代を求めていた。

神戸地検では「遺族との信頼関係を構築できないと判断し、本庁で担当することを決めた。捜査を放置していたわけではなく、担当の副検事が様々な証拠を検討しているうちに時間が経過していたようだ」と説明している。

《石田真一》

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