【新型ポルシェ911 海外試乗】その4 柔と剛 巧みなサスペンション…河村康彦

自動車 ニューモデル 新型車
【新型ポルシェ911 海外試乗】その4  柔と剛 巧みなサスペンション…河村康彦
【新型ポルシェ911 海外試乗】その4 柔と剛 巧みなサスペンション…河村康彦 全 6 枚 拡大写真

それは驚きの体験だった。これほどのしなやかな乗り心地など、到底予想はしていなかったからだ。

確かにこれまでの996型も、高度な操縦安定性を成立させたうえでの乗り心地に不満などないモデルだった。なかでも、高速走行時の圧倒的と表現をしてよいフラット感の高さは、もはや高級サルーンすらを寄せ付けないレベルにあったと断言できるものだった。

ところが、そんな996型の走りの仕上がりレベルを、997型は軽々と塗り替えてしまった。とくに、“PASM”が標準装備となるカレラS、もしくはそれをオプション装着したカレラの場合には、80km/h程度までの“低速域”ですら「これまで経験してきたすべてのクルマの乗り心地を凌ぐ」と表現したくなる、素晴らしい乗り心地を味わわせてくれることになっていたのだ。

もちろん、そんなしなやかな乗り心地をもたらす滑らかなサスペンションのストロークは、同時に類稀なる走りのポテンシャルをも生み出すことにもなっていた。考えてみれば、こうしてよく動く足はつねに路面をしっかりと捉えるのだから、それも当然ではあろう。

ただし、コンソール部に設けられたスイッチ操作で“PASM”の『スポーツ』モードを選ぶと、一般路面をおとなしく走行する限りではやや跳ね気味の挙動を示してしまう。どうやら日常的には、走行スタイルによって自動的に減衰力マップを制御する『ノーマル』モードの方がふさわしい印象だ。当初からハードなセッティングを行なう『スポーツ』モードは、完全フラットな舗装路面か、サスペンション入力が極端に大きくなるレーシングスピードでの走行時に使用を限定するのが似合っていそう。ちなみに、こちらのモードを用いるとニュルのオールドコースで、「標準シャシー比マイナス5秒の平均ラップタイムを記録できる」という。

動力性能は当然カレラSが上を行く。が、これはカレラが“鈍足”であることを示すわけではもちろんない。何となれば、空いたアウトバーン上でこちらのスピードメーターも『280』の数字を軽々とマークしたくらいなのだから……。

それにしても、ポルシェが突き進む史上最高・最良のスポーツカーづくりへの執念はちょっと空恐ろしいばかりですらある。こうなると、来年といわれる次期ボクスターの出来に対しても嫌が上でも期待感が盛り上がるというものだ!

■スペック
・フロントサス:ストラット/ツインチューブタイプ・ダンバー
・リヤサス:5リンク/シングルチューブタイプ・ダンバー
・タイヤ&ホイール
 フロント:235/40ZR18 8J(カレラ)/235/35ZR19 8J(カレラS)
 リヤ:265/40ZR18 10J(カレラ)/295/30ZR19 11J(カレラS)
・トランスミッション:6速MT/5速ティプトロニックS
・最高速度:285km/h(カレラ)/293km/h(カレラS)

《河村康彦》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  2. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  3. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】スライドドア採用にカスタム廃止、大胆進化のムーヴ「四角く見せたくなかった」動きのデザインとは
  5. 「内装は100点満点」フランス生まれの新型プレミアムハッチ『DS N°4』にSNS注目!「いい、凄くいい」の声
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る