★コンパクトは世紀末の浮世絵になれるか
自動車税は安いが、購入価額,維持費等を勘案するとそのメリットは少ない云々……。昨今、軽乗用車の値段がコンパクトカーに近くなり、自動車専門家からそのあり方に疑問をはさむ意見が出ている。
しかし昨年の国内で販売された乗用車は446万台、そのうち129万2000台が軽乗用車であった。街で走っている乗用車の実に4台に1台強が軽乗用車ということになる。排気量が4000ccを越えるクルマもあるなかで、660ccだけの軽乗用車によるこの数字には驚かされる。
「大衆」と言う言葉には、「専門家」に対して少々軽く見られる傾向がある。しかし世界でまれな軽乗用車を支持する大衆パワーは、その正しさを探り当てているのであろう。限られた資源と、狭い国土でシンプルライフを送っていた日本人が選択した日本独自の軽乗用車は世界に誇れるクルマと言いたい。
欧米では健康的な食材として日本食がブームになっているし、盆栽の美しさも注目されている。過去にも、印象派のアーティストが日本の浮世絵を絶賛したことがある。
欧米人の感性は、必ずしも日本人のそれとは一致しない。時には思い込みや勘違いもあるかもしれない。しかしこの違いに注目することが原動力となり、文化の伝播がなされるわけだ。この違いこそを大切にしたい。
軽乗用車の素晴らしさに世界が気付き、安全基準の見直しや馬力競争のブレーキになれば日本が世界に貢献できるチャンスでもある。コンパクトは日本の美意識でもあり、お家芸でもあるからだ。
★レトロを越えた新しい可能性
★「優しさ」は変わらずにいてほしい
★コンパクトは世紀末の浮世絵になれるか