【神尾寿のアンプラグドWeek】auもFeliCa採用、進むケータイの「おサイフ」化

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【神尾寿のアンプラグドWeek】auもFeliCa採用、進むケータイの「おサイフ」化
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9月28日、KDDIとフェリカネットワークスが、au携帯電話に非接触IC「モバイルFeliCa」を導入すると共同発表した。

モバイルFeliCaは「携帯電話をかざすだけ」で、様々なデジタル機器と安全に通信ができる技術で、ドコモが"おサイフケータイ"の名称で普及に力を入れている。おサイフケータイでは、電子マネー「Edy」などを用いた電子決済サービスや、ポイントカードサービスなどを実現している。

一方、KDDIでは、2005年の秋に発売される「CDMA 1X WIN」端末の一部機種でモバイルFeliCaを採用。2006年度以降はCDMA 1X WIN端末の標準機能を目指すという。同社は以前からプレス向けのカンファレンスなどでモバイルFeliCa導入を示唆していたが、今回、フェリカネットワークスから正式にライセンス供与の合意を得ることで、「auもFeliCa」が確定した。

auのモバイルFeliCa内蔵ケータイでは、JR東日本の「Suica」対応が発表されており、Suica電子マネーが使える可能性は高い。またビットワレットの「Edy」も採用を検討している。モバイルFeliCaの仕組み自体はドコモ、auともに共通のものを採用するので、両者が同じ電子決済サービスやポイントサービスを利用できる可能性は高い。

ケータイを決済やポイントサービスで使う「リアル連携」では、店舗や施設がいつ"ケータイ対応"するかが鍵になっている。これらユーザー企業の背中を押すという点でも、今回、auがモバイルFeliCaを採用したという発表は重要だ。

NTTドコモでは今冬投入する次期主力モデルの「FOMA 901iシリーズ」で、多くの機種にモバイルFeliCaを搭載。おサイフケータイ対応端末を増やすと明言している。ドコモが新規加入や機種変更として販売する携帯電話の数は年間2700万台程度。今後、多くのユーザーが乗り換えるFOMAがおサイフケータイ対応をしていけば、モバイルFeliCa対応端末の普及数1000万台の壁を突破するのは難しくない。おそらく2005年度末くらいには実現できる。

 しかし、筆者が取材したあるユーザー企業は、匿名を条件に、
 「ドコモだけがいくら普及台数を増やすだけでは、(モバイルFeliCa対応は)難しい。他のキャリアをお持ちのお客様もいるので、全キャリア対応も条件になる」と語る。ドコモが先陣を切ったおサイフケータイだが、それが社会インフラになるかの鍵は、auやボーダフォンが「いつ全面的に採用するか」にかかっていたのだ。

今回、業界2位のauがモバイルFeliCa採用を決めたことは、ドコモのおサイフケータイにとっては追い風であり、業界3位のボーダフォンにとってはプレッシャーになるだろう。シンプル路線を貫くツーカーセルラーを除いて、日本の携帯電話業界全体がモバイルFeliCaに対応し、「おサイフケータイ」型のサービスが根付く条件は揃ってきた。

自動車業界では、ETCの発展系である「DSRC」を民間事業者の電子決済サービスで利用しようとしているが、端末普及と店舗展開のスピード感では"ケータイ陣営"に大きく後れを取っている。すでにロードサイド企業のおサイフケータイ対応の動きも見え始めた。ロードサイドビジネスに関わる事業者では、DSRC決済とケータイ決済のどちらが電子決済サービスの本命か天秤にかける動きが活発になっている。携帯電話業界の流れが加速する中、DSRC陣営も早急に現実感のある普及シナリオを展開する必要があるだろう。

《神尾寿》

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