バス水没事故で京都府警が発言否定

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今月20日、台風23号の接近で京都府舞鶴市内の国道が冠水し、大型観光バスが立ち往生した問題について、京都府警は25日、「バスの運転手に対し、安全に通行できる旨の指示をしていない」として、バス運転手の発言を否定した。

京都府警・舞鶴西署によると、事件が起きたのは20日の午後9時ごろ。舞鶴市八田付近の国道175号線を走行していた大型観光バスの運転手から、会社に対して「道路が冠水して立ち往生している」との連絡が入った。

このとき、バスは台風23号の接近によって増水した由良川付近に位置しており、やがて水位はバスの客室に達し、運転手と乗客36人はバスの屋根に避難。激しい風雨の中、本格的な救出作業が開始された21日朝までの約10時間をそこで過ごした。

37人は全員無事に救出され、死傷者は出なかった。

救出された運転手は、警察の事情聴取に対して「路面はすでに冠水が始まっていたが、現場の直前で交通検問をしていた警察官から“進行しても大丈夫”と言われた」と証言。警察官の指示に従って通行したことを強調していた。

ところが現場で警備に当たっていた舞鶴西署員は「パトカーで現場に入った午後8時ごろには30cm程度の冠水があり、通行するクルマに対しては“気をつけて走行してください”と声を掛けた」としながらも、大型観光バスが通ったことは記憶していないという。

さらには「明らかに冠水している状況だったので、通行しても大丈夫とは言っていない」として運転手の証言を否定。主張が食い違っていた。

これについて京都府警・警備部は25日に会見を開き、事件当日は午後2時30分から現場の北側500m付近で舞鶴西署員8人(交通課、地域課)が検問していたことを明らかにした。

台風による風雨が強まった午後6時20分ごろには現場近くで土砂崩れが発生したために警備を強化。この頃から冠水もひどくなり、由良川に架かる大川橋を通過する車両に対して注意を呼びかけていたという。

ただし、大型バスを止めたという証言はその場に居合わせた署員から得られておらず、通行したクルマに通行の安全を保証するような発言もしていないという。

現状では誰がどのような言動を行ったのかは謎のまま。このため、府警としては誰が言ったのかわからず、現時点ではバスの運転手に対して安全に通行できる旨の指示をしていないというスタンスを貫くようだ。

府警ではバス運転手を含む関係者から改めて事情を聞くとしているが、展開次第では泥沼の論争に発展する可能性もある。

《石田真一》

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