【山陽道夜行高速バス炎上】その1…妙に生暖かった

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【山陽道夜行高速バス炎上】その1…妙に生暖かった
【山陽道夜行高速バス炎上】その1…妙に生暖かった 全 2 枚 拡大写真

【山陽道夜行高速バス炎上】その1…妙に生暖かった

14日未明、兵庫県姫路市内の山陽自動車道下り線で、中国バスが運行する夜行高速バスが中央分離帯に接触。直後に出火し、車体を全焼する事故が起きた。読者の一人が乗り合わせ、緊迫の現場レポートを寄稿!

 ………………

もう何度も使っている深夜夜行バス。今回も広島に行くのに使うことにした。トイレの鏡のキズを見て「前回と同じバスだ」と判別出来るようにまでなっていた。

私はU字型をした空気注入型の枕と耳栓、空調で咽を悪くしないようにとマスク、更にアイマスクという完全装備で睡眠状態にあった。深夜高速バスの空調は大変に暑く、夜は冷え込むこの季節にも関わらず上半身はTシャツで充分だった。靴もとり、靴下も脱いで思いっきりリラックスした格好で眠りについた。ところが……

2004年11月14日午前3時50分頃、それは突然訪れた。「ボン」とも「ボム」とも言えない形容しがたい、耳栓をしていても耳に入った非常に大きい音と衝撃で、文字通りたたき起こされた。

車体が障害物に当たり砕け破壊される音と同時に、右方向から大きいハンマーで殴られたような感じ。バス車内の右側面に身体がぶつかったのだが、内壁に激突して上空にハネ上がるような、そんな感覚があった。シートベルトをしていたにも関わらず、だ。

直感で何かにぶつかったというのは理解出来たが、それが何か、また、自分はどうなっているのか客観的なことを考えるまでに何秒かかかり、その間は放心状態であった。どうも車体はまだ動いているらしい。しかしそれはタイヤを使って走っているのではなく、ボデーの何かを引きずってはじき飛ばされた感じがした。

それを証明するように車内後部で男性の声で、耳栓をしたままでも聞こえる程の大声で「火が出ている」、あるいはこちらの方が早かったかもしれないが「火花が出ている」と怒鳴っている声がし、その声で放心状態から連れ戻された感じがした。

バスがアスファルト上をタイヤ以外のどこかで無理やり走って路肩に停止したとき、すでに車内は煙りが立ち込み始めていた。しかしそれは咳き込む程度ではなかった。その中から「非常口から逃げろ」や「開かない、(開閉レバーは)どこだ」、さらに「非常口のまわりが燃えている」と叫ぶ声があった。

横を何人かが走って脱出していたのを見て、私も「逃げなれば」と思った。映画などではここで全くのパニックになるはずだが、迅速に脱出する姿は私を含めて乗客は変に冷静でもあった。

はじめ何も持たずに取りあえず車外に出た。車内には乗客14名と運転乗務員2人の合計16名がいたそうだが、私がTシャツに素足で飛び出した時は、車内にほかの乗客はもう居なかったように思えた。

車内から車外に出た素足の第一歩を路側帯を流れる液体に踏み込んだ。当日の天候は曇りであったが、なぜそこに液体があるのか、特に不思議には思わなかった。水ならばこの季節なら絶対に冷たいはずなのに妙に生暖かった。

つづく

《レスポンス編集部》

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