広島県警は11月27日、石見交通が運行する路線高速バスが広島県千代田町内の浜田自動車道にある停留所を誤って通過し、下車予定だった76歳の女性を停留所から約1km離れた高速道路上に降ろすというトラブルが発生していたことを明らかにした。
広島県警・高速隊によると、このトラブルが起きたのは11月13日の午前10時10分ごろ。
浜田(島根県)から広島駅に向かっていた石見交通の運行する路線高速バスが、千代田町今田付近の浜田自動車道上り線を走行中、乗客からの降車ホダンによる停車合図があったにも関わらず、これを見落として千代田西バス停を通過してしまった。
運転手は降車ボタンを押した76歳の女性に対して「広島北インターチェンジバス停から折り返してください」と依頼したが。女性は「迎えが来ているからここで降りたい」と主張。
運転手はバス停から1kmほど離れた場所にある保守工事用の取り付け道路まで走り、「そこから一般道に下りるように」と女性に指示。女性を降車させるためにバスを路肩に一旦停車させ、すぐに発進した。
女性は取り付け道路から一般道に降りようとしたが、ドアが施錠された状態で開けることができなかったため、そのまま自動車道に戻り、路肩をバス停方向に向かって歩き始めた。
この様子を複数のドライバーが目撃。警察に対して「高齢者が高速道路上を徒歩で歩いている」と通報した。通報を受けて同隊のパトカーが出動し、取り付け道路から約300m、バス停まで約700mの地点で女性を発見。無事に保護した。
保護した隊員は当初、「近くのバス停から侵入し、高速道路を歩いてきた」と判断していたが、その後の聴取によって高速バスから降りてバス停に向かっていたことが判明。女性が乗っていたバスを特定し、53歳の運転手に対して道路交通法違反(駐停車違反)で反則キップの交付を行っている。
同隊の事情聴取に対し、運転手は「突発的に発生したトラブルで気が動転してしまった。女性がどうしても、と頼み込むので会社の規定を無視してしまった」などと話していたという。
また、路肩を歩いていた女性も「停留所に家族が迎えにきており、どうしても降りたいと思った。ドアに鍵が掛かっていたので路肩を歩いてバス停に戻ればいいと思った」などと話しているという。
石見交通では、バス停を誤って通過した場合には、次のバス停まで降車予定の乗客を運び、逆側に向かう便を案内するか、タクシーを手配すると規定している。今回はこの手順を遵守せず、そこに落ち度があったのは明らかだとしており、同社は国土交通省・中国運輸局に対して事態の報告を行っている。