新年から西ヨーロッパでは、あるテレビCMが頻繁に放映されている。1台のデーウ『マティス』が静かに“脱皮”するが、そこにあるのは相変わらず同じマティス。しかし、よく見るとバッジが「CHEVROLET」に変わっている……。
ゼネラルモーターズ(GM)は元日をもって、西欧諸国で販売する傘下の韓国デーウ製乗用車を一斉に「シボレー」ブランドへ切り替えた。それに併せてGMデーウの各国法人は、たとえば「GMデーウ・イタリア」から「シボレー・イタリア」というふうに社名も変更した。
GMは2002年の旧・大宇(デーウ)自動車買収後、すでに東欧、米国、アジア諸国、アフリカで、デーウ車をシボレーブランドに切り替えてきたが、今回はいわぱその「総仕上げ」といえるものだ。
日本では巷の「韓流ブーム」とは裏腹に人気が出ない韓国車だが、欧州ではそのコスト・パフォーマンスの高さで販売を伸ばしている。たとえばデーウは、2004年10月までの販売台数で前年比45%の伸びを記録した。
またイタリアでは、フィアット『パンダ』が属するシティカー・カテゴリーの登録台数で、デーウ、ヒュンダイ、キアがトップテンに入る月が続いている。
ちなみに、昨今のGM−フィアットの不仲は、パンダの市場を同グループのデーウに「荒らされた」ことを遠因にする説もあるほどだ。
こうした韓国車ブームに、GMは世界70カ国で親しまれている「シボレー」に切り替えることで、さらなる販売拡大を狙う。同時にシボレーを、欧州市場でオペル/ヴォクソール、サーブ、キャデラックに並ぶブランドに育てようという構えだ。