副作用を告知しない医師の責任を追及…テリスロマイシン

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山口地裁によると、「副作用が原因と考えられる意識障害による交通事故を起こしたのは、医師の説明が足らなかったから」として、山口県秋芳町内に在住する50歳代の男性が、治療を行った歯科医を相手に損害賠償請求訴訟を提訴した。

歯科治療に使われた抗生物質の『テリスロマイシン』は炎症防止に効果のあるものの、意識傷害を起こす可能性が昨年12月に判明している。

男性は歯科医に対し、事故によって被った損害や慰謝料など、総額約560万円の損害賠償の支払いを求め、山口地裁に提訴した。今月13日に第一回口頭弁論が行われている。

この男性は2004年7月26日、小郡町内にある歯科医院で抜歯などの治療を受けたが、医師はこの際に治療した部分の炎症防止のため、男性に対してテリスロマイシンの服用を指示。男性はこれに従って規定量を服用した。

治療から数時間後、男性はクルマを運転中に突然意識を失い、対向車線に逸脱して順走車と正面衝突する交通事故を起こして負傷した。

男性は警察の事情聴取などでも「突然意識を失った」と供述。警察も「事故は男性側の一方的過失で発生した」と判断したが、事故当時に起こした意識傷害は、歯科治療の際に服用したテリスロマイシンによる可能性が高くなった。

テリスロマイシンには服用後、意識を失うなどの副作用があることが昨年12月までに判明。今月17日には厚生労働省が製造元であるアベンティスファーマジャパンと、販売元の三共と藤沢薬品に対し、副作用についての注意事項書き換えを指示している。

男性は「意識を失う可能性が事前に説明されていたならクルマの運転をしておらず、事故の発生は未全に防げた」と主張。説明を怠った医師に責任があることを損害賠償請求の根拠としている。

ただし、意識傷害の副作用があることを厚生労働省が認めたのは前述のとおり昨年12月。事故は医師が副作用の危険性を認識する以前に発生しており、医師も口頭弁論の際には「当時は副作用情報を知らなかった」と主張、全面的に争う姿勢を見せている。

また、原告側は製造元のアベンティスファーマについても、同様に損害賠償を求める方針を示している。

アベンティスファーマは欧州や北米でも現地法人がテリスロマイシンの製造・販売を行っており、日本法人がどの段階で危険性に気がついたのかも争点のひとつとなりそうだ。

《石田真一》

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