フィアットは26日、イランのPIDF社との間でフィアット車を現地生産することで合意した。今年中に年産10万台規模で生産開始し、最終的には25万台規模まで拡大する予定だ。
車種は海外工場向けモデル『シエナ/パリオ』や、ルノー『カングー』のライバルを目指して登場した『ドブロ』などが計画されている。
しかしそれに伴いイタリアでは、27日朝9時からトリノ・ミラフィオーリ本社工場の従業員400名がストライキに突入した。
組合側は、イラン生産の次段階として『ムルティプラ』も予定されていることを指摘。「現在トリノで生産されているムルティプラを、我々から取り上げるとは」と怒りを露わにした。
それに対して会社側は、「イラン工場生産はイラン国内市場向けのみ。それにムルティプラは、ミラフィオーリで生産する部品をイランに供給する方式になるだろう」と説明、沈静化を図っている。
しかし昨年からフィアットでは、GMとの合弁会社も含め、大量の人員整理が相次いでいる。
また、ムルティプラと同様ミラフィオーリ製のランチア『リブラ』の生産中止が繰り上げられるという噂もある。グループ各ブランドの旗艦モデルであるランチア『テージス』、アルファ『166』の生産打ち切りも近いといわれている。
そんな寒風吹く中、従業員たちの心情は、どんなニュースにも神経質にならざるを得ないのだろう。先日、ジョヴァンニ・アニェッリ名誉会長の2周忌を済ませたばかりのフィアットは、大いに揺れている。