クレーン車の欠陥原因事故、幹部社員を送検

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2004年8月、岡山県船穂町内の国道で、運転者が意図する方向と逆にハンドルが切れたために対向車線に逸脱した大型クレーン車と乗用車が衝突し、6人が死傷した事故について岡山県警は10日、クレーン車の製造会社タダノの幹部社員2人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。

岡山県警・交通指導課によると、業務上過失致死傷容疑で書類送検されたのは、建機メーカーのタダノでサービス部長職にある52歳の男と、品質保証課長職にある53歳の男。

2人は同社が販売した「ラフテレーンクレーン」と呼ばれる大型クレーン車のうち、1983年から1998年に掛けて製造した16型式の逆ハンドルスイッチと呼ばれる機構に「意図した方向とは逆に舵が切れる」という不具合があることを認識しながらも、リコールなどの具体的な改善措置を怠り、これによる事故を引き起こした疑いがもたれている。

書類送検の容疑となった事故は2004年8月7日に発生している。船穂町内の国道2号線で、運転手がセンターラインに近寄りすぎたと思ってハンドルを左に切ったところ、クレーン車はそのまま右側に曲がり、対向してきたワゴン車に突っ込んだ。この事故によってワゴン車を運転していた33歳の女性が死亡、同乗していた子供5人が重軽傷を負った。

クレーン車を運転していた46歳の男性は警察の事情聴取の際、「ハンドルが一時的に反応しなくなったが、その直後に突然動いた。だが、クルマは自分の意図する方向は反対に進んでいき、結果として対向車に突っ込んだ」と供述。

警察が車両の検証を進めたところ、本来はアームが前方位置にある際には入らないようになっているはずの逆ハンドルスイッチが何らかの原因で入ってしまい、誤作動防止装置が作動しなかった可能性が高いことがわかった。

その後の調べで同様のトラブルが1996年から2001年の間に4件発生していることがわかった。製造元ではこのトラブルを認識しながら、社内のリコール委員会や品質対策会議には報告せず、欠陥を扱う品質保証部内だけで内々に処理した。

この結果、トラブルの発生は表沙汰にならず、今回の事故が起きるまではこうしたトラブルが発生していることには事故に遭わないかぎりは気づかなかった。

警察では事態を隠蔽し、具体的処置を怠ったと判断。2人の幹部社員を書類送検した。

《石田真一》

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