デンソーは、ディーゼルエンジン用の燃料噴射システムとして、トヨタ自動車と共同でピエゾインジェクタを採用した1800気圧コモンレールシステムを世界で初めて開発したと発表した。
新開発のコモンレールシステムは、5月にトヨタが、排出ガス浄化システムのDPNRシステムを搭載して欧州で発売した『アベンシス』に搭載している。
現在、デンソーが供給している1800気圧コモンレールシステムは、世界最高の燃料噴射圧で、1回の燃焼で最大5回の噴射を行う高精度複数回噴射が可能だ。
このシステムに応答性の高いピエゾインジェクタを使用することで、噴射期間の短縮と噴霧の更なる微粒化による燃焼の改善を図った。これにより、出力の向上と排出ガス中の粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)の発生抑制を同時に達成した。
新開発したピエゾインジェクタは、電圧をかけると伸張するピエゾ素子をバルブ制御に使用し、応答性に優れている。瞬時に制御バルブを開閉することで、インジェクタの先端にあるノズルニードルを高精度に制御できるため、より最適な量の燃料を最適なタイミングで噴射する燃料噴射制御が可能だ。
従来のソレノイドインジェクタと比較して、最短噴射間隔を1万分の4(0.4ミリ)秒から世界最短レベルの1万分の1(0.1ミリ)秒に短縮した。
また、デンソーは今回発売したアベンシスの排出ガス浄化システム(DPNRシステム)には、フィルタ(コージェライト製DPF基材)のほかに、フィルタで捕集したPMを燃やすために排気管内に燃料を噴射する排気燃料添加インジェクタも供給している。