落とし穴…値引きの仕方によって変わる税額

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アメリカにおいて、ビッグ3のインセンティブ競争による販売戦は熾烈さを増している。特に今年春から始まった「従業員価格」での販売はビッグ3の各社に大幅な売り上げ増をもたらした。そのリベートや値引きの総額は昨年1年間、ビッグ3で合計280億ドルにも上るという。

しかし消費者にとって落とし穴とも言えるのが、クルマを取得した際にかかる税金である。実はほとんどの州でリベートは「現金支払い」という扱いを受けており、消費者はプライスタグにかかわらず定価に対する税金を徴収されることになる。全米消費者組合には、こうしたユーザー側からの不満が何件も寄せられており、「通常、州税は支払った金額に対してかかるものだ」という抗議が起きているのだ。

このため自動車メーカー側ではリベートという形ではなく値下げという方法を取る事も検討中だが、この場合州の税収が大幅に減るという問題が生じる。たとえばバージニア州の試算では、リベートに対する税収が年に2000万から3000万ドルに達するというのである。

ややこしいのは、例えば3万ドルのクルマに対し、ディーラーとのネゴの結果2000ドルの値引きを得た場合、課税対象額は2万8000ドルとなる。しかしメーカーからのリベートにより2000ドル価格が下がった場合は、課税対象は3万ドルになるのだ。

ただしほとんどの州がこうした税制を導入しているが、中には例外もある。例えばデラウェア州ではリベートに対する課税はない。今後リベート合戦が続き、消費者が税制の落とし穴に気づくようになれば、わざわざ他州で車を買うというのが流行するかもしれない。

《Sachiko Hijikata, US editor》

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