てんかん発作が出ても運転…有罪判決

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2001年10月、山形県山形市内の県道で、てんかん発作の前兆をを軽視してクルマの運転を続け、結果的に発作を起こして意識を失い、死亡ひき逃げ事故を起こした49歳の男に対する判決公判が26日、山形地裁で開かれた。裁判所は被告に対して執行猶予付きの有罪判決を命じている。

問題の事故は2001年10月10日の午後9時5分ごろ発生している。山形市城南町1丁目付近の県道で、53歳の女性の運転する原付バイクに後続の乗用車が追突。女性はバイクの転倒によって路上に投げ出されたが、クルマは女性を約25m引きずって走行。そのまま現場から走り去った。女性は収容先の病院で死亡している。

目撃情報から山形市内に住む49歳の医師の男が容疑者として浮上。クルマにも事故の痕跡が確認され、業務上過失致死と道交法違反(ひき逃げ)の容疑で逮捕されたが、この男には「てんかん」の持病があり、事故を起こす直前に軽いめまい(発作の予兆)を感じていたことがわかった。だが、男は発作を抑える薬を服用したものの、予兆を重視せずにクルマの運転を続けた結果、意識を喪失。事故に至った。

26日に開かれた判決公判で、山形地裁の金子武志裁判長は「被告にはてんかんの持病があり、長年にわたって抗てんかん薬を服用していた」と指摘。その上で「発作の前兆を予見することはできた」と認定したが、その一方で「事故発生当時、被告は発作によって心神喪失状態であった」として、漫然運転やひき逃げの責任は問えないという判断を示した。

しかし、裁判長は「被告は発作の前兆を自覚することはできた。薬を服用している点からもこれは確認できる。運転を自粛する注意義務は果たせた」と指摘。この面では注意義務に反していたとして業務上過失致死罪を適用し、被告に対して禁固1年6カ月(執行猶予3年)の有罪判決を命じた。

《石田真一》

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