ゾーンボディコンセプトは衝突したときに衝撃を吸収するためにつぶれる部分と、人がいるキャビンはセーフティセルとしてつぶれないようにする考え方だ。
しかし衝突は100件の事故があったらその形態は100通りあるくらいさまざまだ。現実の事故を分析していったとき、あらゆる形態の事故に対応できるボディ構造が必要なことがわってきた。進化したゾーンボディはそんな背景から生まれている。
前から衝突した場合、エンジンを支えているサイドフレームで受けた衝撃を床下に向かって丈夫な構造を作り、フロアに力を逃がすというこれまでの方法があった(黄色の部分)。これに加えてタイヤより上の位置にも強い構造物を設け、力はAピラーに行きサイドシル(ドアの下)とルーフにも衝撃の力を分散して衝撃吸収しようとしている(青色の部分)。
さらにセーフティセルを強固なものにするためにドア内部にもバーを設置している。これはサイドインパクトバーとはまったく別で、AピラーからBピラーに向かって水平に伸びる構造物だ。これにより前から入った衝撃によって押されても、Aピラーが曲がることがなく、衝突後もドアの開閉ができるようになるというものだ。これらにより全面クラッシュでも対向車とのオフセットクラッシュでも乗員が無事でいられる可能性が高まっている。
歩行者保護に関しても進んでいる。バンパーの一番外側にあるカバー(通常バンパーといわれるもの)の内部には発泡スチロールが入っていて、歩行者を跳ねてしまった場合に足へのダメージを少しでも少なくする工夫が盛り込まれている。
またボンネットにはエンジンとの間にスペースを設け、歩行者の頭が当たった場合でもエンジンの硬い部分に当たって致命傷にならないよう、対策が施されている。(つづく)