03年12月に登場した『クラウン』が、マイナーチェンジを実施した。内容的には内外装のクオリティアップと、走行性能のリファインといった一般的なものだが、注目はアスリートにトヨタ最強の315psを発揮する3.5リッターV6エンジンが採用されたことだ。
クラウンの車両開発を担当したトヨタ自動車 第一車両性能開発部杉本善孝さんは「今回のマイナーチェンジではアスリートの強化が、ひとつのテーマとなっていましたので、レクサスと同じ3.5リッターエンジンを採用することにしました。他メーカーでは3.5リッターが主流となり、300psを超える高級車が登場している背景もありますので、クラウンにもそれ相応のエンジンがあってもいいと思います。エンジン特性的にはレクサス『GS』350と、ほぼ同じスペックです」
「先代のアスリートは2.5リッターターボで280psを発揮するモデルがあったのですが、やはりNAのほうが低回転からトルクを出しやすく、クラウンらしい上質な加速感に仕上げることができました」と語る。
実際に3.5リッターにパワーアップしたアスリートに乗ってみると、その差は歴然としていた。発進時からトルクが湧き上がり、その加速感が6000rpmを超えるまで衰えない。そしてエンジンの吹けあがりもシャープだ。
6速ATミッションとのマッチングもよく、高回転まで引っ張ってシフトアップしたときには、トルクの太い領域を保ちつづけるので、豪快な加速感がいつまでも続く。この加速感はマイナー前の3リッターエンジンとは比較にならないぐらいほどスポーティだ。
そして普段の走行でも、プラス500ccの排気量は余裕が増し、市街地での走行もラクになっている。
マイナー前までのアスリートはロイヤルサルーンと同じエンジンを搭載していたので、アスリートの存在感が薄くなっていた。だが、レクサスと同じ3.5リッターエンジンを唯一トヨタブランドで搭載することにより、アスリートの存在価値が一気に高まった気がする。(つづく)