2006年のVW…ポルシェと州政府と投資家の争い

自動車 ビジネス 企業動向
2006年のVW…ポルシェと州政府と投資家の争い
2006年のVW…ポルシェと州政府と投資家の争い 全 1 枚 拡大写真

ドイツのフォルクスワーゲン(VW)では、5月に予定されている株主総会に向けて、大株主同士の敵対関係が顕在化しつつある。

昨年9月までは、VWの株式18.2%を保有する独ニーダー・ザクセン州が筆頭株主だった。しかし、昨年9月にポルシェがVWへの20%超の出資を表明し、12月末時点で18.5%の株式を取得して筆頭株主に躍り出た。

VWの役員会には、ポルシェ創始者の孫であり、VWの前社長だったフェルディナント・ピエヒ博士が監査役として名を連ねているが、ポルシェ側はVWへの支配力を強めるために、さらに2人の役員を送り込むことを画策している。

これに反発したのがニーダー・ザクセン州のクリスチアン・ブルフ知事で、「ポルシェとVWの利益相反が起こる」と主張している。そして同知事は、VWの株主であるアメリカの機関投資家などに、ポルシェからの役員受け入れ案に反対するように呼びかけている。機関投資家の一部は、ポルシェによるVW支配の強化に異議を唱えており、同知事に賛同する見通しだ。

この株主同士の争いはVW買収の前哨戦であるとの見方も強い。なぜなら、現在VWを敵対的買収から守っている、いわゆる“フォルクスワーゲン法”は、EUの競争政策に抵触するため廃止される公算が高い。つまりそう遠くない将来にVWをめぐる買収合戦が起こる可能性はきわめて高い。

VWの乗用車部門は、VW、シュコダ、ベントレーを含むVWブランド・グループとアウディ、セアト、ランボルギーニを含むアウディブランド・グループにわけられる。2004年決算の営業利益は、VWブランド・グループは4400万ユーロの赤字、アウディ・ブランド・グループは12億ユーロの黒字だった。2005年の決算は、VWブランド・グループの業績もリストラ効果によって回復基調にあると見られている。

ようやく復調のきざしが見えてきたVWだが、ポルシェの支配力がさらに強まるのか、それとも弱まるのか、混沌とした状況で2006年を迎えることになった。

《》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. スイスポ最終モデルの完全進化形! BLITZが手掛けた“走りと快適”の完熟セットアップPR
  2. 【BMW R1300RT 試乗】200km/hクルーズの快適さは、もはや飛行機レベル…佐川健太郎
  3. BMWの電動スクーター『CE 04』、3つの新デザインバリエーション発表
  4. 鋭意開発中、ブリッドがプロトタイプシートを公開へ…オートメッセ in 愛知 2025
  5. 名車「964型ポルシェ 911」を最新の姿に甦らせる、シンガーが最新レストア作品披露へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  4. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  5. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
ランキングをもっと見る