ダイハツ『エッセ』は税抜き65万円からと、十分に競争力のある価格帯だが、この価格を実現するためにデザインは、室内塗装面積、ヘッドレスト一体型のシート、リアランプ寸法などでコスト削減にアプローチした。
ダイハツ工業デザイン部第4スタジオの村上英司さんは次のように語る。
「まずドア内側の鉄板のボディ色部分です。この位置でこの面積ですと、ドア外側を塗装する時に一度に塗れるんですね。生産工程、組み立ての仕方を変えて、溶接の跡も出ないように工夫しています。これ以上ボディ色面積が増えると、内側塗装の工程と塗料が増え、樹脂トリムよりコストが高くなります。インテリアでは他に、ヘッドレスト一体型のシートです」
「リアランプも小さくしました。十分に機能を果たした上で、法規上の最小面積です。またフェンダー上のサイドターンシグナルをヘッドランプと一体化しました。このサイドターンシグナル一体のヘッドランプは、エッセの顔に表情をつけることにも貢献しています」
「バンパーのエアインテークも一体のデザインです。エアインテークを別部品にしたり、黒塗装してもコストがかかりますから。この9つの四角い穴も、エッセの特徴になっています」
「実はリアハッチも、開発途中ではガラスハッチのみの提案もありました。最終的にはコストより、トランクルームへのアクセスを優先し、現在の形状になりました」と村上さんは教えてくれた。