プラス誤差の生じない根拠がない…オービス裁判で公訴棄却

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2004年8月に秋田県内でオービス(速度違反自動取締機)によって速度超過を摘発され、道路交通法違反の罪に問われた40歳の男性に対する判決公判が14日、仙台高裁秋田支部で開かれた。裁判所は一審の秋田簡裁判決を破棄し、公訴棄却を言い渡している。

問題の事件は2004年8月16日の午後3時ごろに発生している。潟上市天王字天王付近の制限速度60km/hとなっている県道(現:国道101号バイパス)で、40歳の男性が運転する乗用車が92km/hで走行したとして、オービスによる取り締まりを受けた。男性は警察への出頭も拒否したために2005年1月に道交法違反で逮捕されたが、この際には容疑を認め、一審の秋田簡裁からは罰金6万円の判決を命じられていた。

しかし、一審判決の後に「オービスが設置されているのは知っており、80km/h程度の速度で走行していたかもしれないが、92km/hは出していない」、「逮捕され、身体的拘束を受けたことを苦痛に感じて容疑を認めてしまった」として控訴。オービスによる速度測定の精度について争っていた。

検察側はオービスのメーカー側を証人として申請し、「測定値はマイナス側の誤差しか生じず、実際の速度よりも測定値が上回ることはない」と主張してきたが、14日に行われた判決公判で仙台高裁秋田支部の畑中英明裁判長は「測定値にマイナス誤差しか発生しないことを裏付けるに足りる客観的なデータ等の証拠は何ら存在しない」として、検察側の主張を退けた。

その上で「プラス側への誤差が生じないという根拠が示されない以上、測定値が92km/hだったというだけで、実際にはそれ以下の速度で走行していたのではないかという合理的な疑いが残る」と指摘。一審前の段階で被告の男性が容疑を認めていたことについては「有罪認定をする上で、捜査段階の自白が有力な証拠価値を有するとは言えない」として一審判決を破棄。検察側の起訴そのものを棄却する「公訴棄却」を言い渡した。

《石田真一》

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