宇部興産は5日、キャパシタ並みの急速充放電性と、リチウムイオン電池が持つ高電圧・大容量の特性を両立した新たな蓄電電源の開発に成功したと発表した。同電源を搭載した小型EV(電気自動車)を試作し市街走行を始めた。
リチウムイオン電池は急速充放電ができず、キャパシタは電圧や容量が少ないとという課題を残していた。
開発した新蓄電電池は、リチウムイオン電池とキャパシタのそれぞれのメリットを合わせもったもの。正極と負極に異なる炭素材料を使うとともに、電解液には非リチウム含有電解液を用いた。これにより、キャパシタ並みの急速充電性を可能にし、エネルギー密度もキャパシタの10倍以上を確保。蓄電電圧も3.2Vを達成した。
同社の電池材料事業の売上高は現在年間約100億円。今回の新蓄電電池の開発成功などをはずみにし、2010年には2倍の200億円以上をめざす。