【インディ500】まるで、おとぎ話のような…

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5月28日、インディ500の決勝レースが行われた。今年で開催90回目を迎えた伝統のレースには、シリーズのレギュラードライバーに加え、3年ぶりに自らステアリングを握り、今季シリーズデビューを果たしたマルコと親子で参戦マイケル・アンドレッティがエントリー。

祖父マリオ以来、数々のタイトルを手中に収め、アメリカのレース史の金字塔にも例えられるアンドレッティ家だが、これまで不思議とインディ500ではツキが無く、マリオが一度勝利したのみ。今回は現役時代に叶わなかったマイケルの悲願達成なるか、ブリックヤードデビューとなるマルコの戦いぶりは、とアンドレッティ家の動向に注目が集まっていた。

これまで約3週間の日程期間とは打って変わる摂氏30度を超える暑い朝を迎えた決勝当日。マイケルのみならず、90回目の節目だけにアル・アンサーJr.、エディ・チーバーらのビッグネームが復活するなど、話題満載とあって、観客動員数は近年を大きく上回る動員を記録した。2.5マイル、約4Kmのコース内外を囲んだグランドスタンドは満席となった。

今季はワンメイク体制ということで、ホンダエンジンを搭載した33台、フルグリッドのインディーカーがブリックヤードに整列する頃には、場内の熱気もうなぎ上り。午後1時、鈴なりのグランドスタンドからの大声援の中、グリーンフラッグが振り下ろされ、200周/500マイルのレースがスタートした。

インディ独特の3列グリッドのフロントローには、ポールポジションのサム・ホーニッシュJr.と、今季ここまで交互に勝利をおさめている好調エリオ・カストロネベスとダン・ウェルドン。

注目のマルコは9番手、マイケルは13番手スタートだ。日本勢は7番手3列目と日本人タイの好位置を確保した松浦孝亮とともに、今季はレギュラーシートを失っていたが、1週間前の予選直前に急遽代走が決まったロジャー安川の2台が出走した。

クリーンスタートの直後、ファーストラップから2台が絡むアクシデントで始まったレースは、その後もトーマス・シェクター、カストロネベス、バディ・ライス、アンサーJr. ら、有力ドライバーが続々とアクシデントで戦列を去る波乱の展開。リードラップもめまぐるしく入れ替わった。注目のアンドレッティ親子は、終盤までトップ集団を伺う位置にあり、こちらも注目のダニカ・パトリックらとのバトルを繰り広げていた。

そして最後の最後、満員の場内が総立ちとなったドラマの始まりも、190周に起きたフィリペ・ジャフォーネのアクシデントだった。折しも終盤にはいり7台のみになっていた同一周回走行のマシンが順に最後のピットストップをこなし、順位は刻々と変動していた時だった。

この時点でのトップは、トニー・カナーン。このイエローコーションを利用してピットインしたトニー・カナーンに替わりトップにたったのは、ノーピット作戦にでたマイケル。アクシデント発生とほぼ同時にピットインしていたマルコも2番手へと浮上した。

196周、最後の4周をかけてのリスタートは、後にマルコ自身が「おとぎ話のようだ」と語った親子でのトップ争奪バトルとなった。ここで父に先んじたマルコは背後に迫るホーニッシュを抑え、トップでホワイトフラッグを受けると、さらにリードを広げたかに見えた。しかし最終周の最終ターンでマルコととらえたホーニッシュは、メインストレートで前に出ると、そのままトップでゴールラインを通過した。インディ500史上2番目となる僅差だった。

生粋のインディ育ちドライバー同士による白熱のバトルに、満員の場内は大興奮の渦に包まれた。こうしてマルコのルーキーでのインディ500制覇、そしてアンドレッティ家の悲願達成の夢はついえたが、ウィナーとなったホーニッシュにとっても、インディ500は初勝利。恒例のミルク飲みで勝利を祝ったホーニッシュは「夢のようだ」喜びを爆発させた。

今年のインディ500は、詰めかけたファンのみならずアメリカのレースファン皆の夢が実現した、まさにおとぎ話のような一戦となった。

《ケニー中嶋》

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