北米ボルボ主催の取材イベントに用意されたボルボ『C70』は、最高出力218hpを発するターボ付きの2.5リッターエンジンを搭載した「T5」に限られた。
『S40/V50』シリーズを骨格上のベースとする新型C70は、そこに搭載するパワーパックも基本的にそれらのモデルとの共用。用意される3種類のエンジンはいずれもボルボ得意の直列5気筒ユニット。オープンモデルだけあってその大半が北米地区での販売と予想されることもあり、さすがにディーゼルモデルは設定されていない。
T5に組み合わされるトランスミッションは「6速MTが標準で5速ATがオプション」という扱い。が、日本導入モデルは例によって、AT仕様のみとなりそうだ。
中間グレードの「2.4i」とベーシックグレードの「2.4」は、ともに自然吸気式の2.4リッターエンジンを搭載。圧縮比を含めた両者の基本スペックは同一であるものの、細部のチューニング違いにより、それぞれの最高出力は168hpと138hpという値。日本市場に向けてはT5とともに、「リーズナブルな仕様として2.4の導入も検討中」とのこと。自然吸気モデルは「5速MTが標準で5速ATがオプション」という扱いだが、こちらも日本市場に向けてはAT仕様に限定される公算が高そうだ。
T5の動力性能は、1.7トン級という重量+ATという組み合わせでも「まずは十二分」という印象。ただし、ターボ付きということもあり、アクセル操作に対するリニアリティは必ずしも一級品とはいいがたい。右足の微妙な操作に対する自然な応答性という点では、やはり自然吸気エンジンのほうに分がありそうだ。
従来型カブリオレから比べるとボディの剛性感は飛躍的に高まった。もちろん、それでもポルシェ『ボクスター』やBMW『Z4』といった本格スポーツモデルに迫るほどではないが、とくにルーフを閉じた際の“しっかり感”はそもそもオープン化のできない完全クローズド車のそれにも匹敵する印象だ。そんな新型C70の走りのテイストで驚かされたのは、その静粛性。それもあり、とくにクーペ状態での走りは快適性も極めて高い。
リトラクタブル式のルーフを手に入れて「従来型の倍の台数は世界でセールスしたい」と意気込む新型C70。それは、パッケージ面でも走りの面でもすこぶる優等生的な一台なのである。