【レクサス LS 海外リポート】機能を前面に押し出さない奥ゆかしさ…河村康彦

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【レクサス LS 海外リポート】機能を前面に押し出さない奥ゆかしさ…河村康彦
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いっぽうで、そんな新型レクサス『LS』のインテリアデザインには正直なところ、乗り込んだその時点でいささかの不満が募ることになった。

確かに、シートやドアトリムをはじめ各部に用いられる素材は、高級車にふさわしい仕上がりを求めて吟味が重ねられたことを連想させる、いかにも上質感の漂うもの。

じつは、オーストリアで開催の取材イベントに用意されていたのは、まだ“プリ・プロダクション”という段階の欧州&北米仕様車たち。それゆえ、部材同士の合わせ目にはまだレクサス車らしからぬ不ぞろいなところが見られたり、装備そのものが日本仕様車のそれと異なる部分があったりと、必ずしも最終的なチェックが可能な状態にはなかった。

それでもこのクルマの仕上がりのクオリティが並みいるライバルたち——それはやはりメルセデスベンツ『Sクラス』やBMW『7シリーズ』に代表される、ということになるのであろうが——との直接比較でも「勝るとも劣らない」ものであるというのは、すぐに納得ができるものだった。

しかし、いうなればそんな周辺モデルに対しての“最後発”とも考えられるタイミングでデビューとなる新型LSのインテリアが、とくに操作系のデザインという点では何の先進性も感じられないものであるのは、とても残念だし、ガッカリさせられた部分だ。

なかでも、ナビゲーション用モニターを主役としたセンターパネル部分には多数のさまざまなスイッチ類が雑然と並べられ、何とも旧態依然とした雰囲気が漂ってしまう。

確かに、BMWの「iドライブ」やメルセデスの「コマンド・スイッチ」がもたらす操作性にもまだ難点は残されている。が、指先でスイッチ操作が可能なATレバーの採用を含め、彼らのデザインには「豊富な装備群がもたらす操作の複雑さを何とか改善したい」という意欲が見てとれる。

対して、新型LSに見られる「無難が一番」とばかりの、新たなトライは放棄をしたかのようなデザインに対する取り組みの姿勢はとても残念。なるほど、“ハードウェア・オリエンテッド”な雰囲気を敢えて前面にアピールしないというのは、日本古来の奥ゆかしさを重んじるレクサス流のやり方なのかも知れない。

しかしいっぽうで、「従来モデルのコンポーネンツを継承しない、まったく新しいフラッグシップモデルの創世」を狙ったというのが、新型LSでの基本的な開発スタンスのひとつでもあったはず。となると、エクステリアに感じられたインパクトを反復してくれないインテリアのデザインは、筆者にとっては「このクルマのウイークポイント」とどうしても思えてしまうのだが…。(つづく)

《河村康彦》

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