国交省がとりまとめてきた排気量125cc以下の原付バイクの保有台数調べが、今年で打ち切られていることがわかった。
保有台数調べは、同省自動車交通局が約30年続けてきた。実質的に調査を行ってきたのは市区町村だが、市区町村の一部で協力が得られなくなってきたことで、データの信頼性が確保できなくなったのが、いちばんの原因だ。
市区町村は、軽自動車税課税のための課税台数を総務省に対して報告している。しかし、原付バイクは車検がなく、ユーザーが市区町村を越境して移動などをすると追跡が難しく、課税台数が必ずしも実態を反映しているとは限らない。保有台数は、課税台数と実態のかい離を修正した統計データとして役立ってきた。
しかし、自治体からすると、保有台数調査は課税台数調査とは別に行わなければならない。自動車交通局が自治体に調査を依頼する法的根拠はなく、調査の引き受けを断る自治体が広がっていた。同局は、毎年4月に都道府県に依頼する保有台数調査を、今年から中止している。
「総務省と両方で集計をすると二度手間になりますし、自治体の協力が得られない以上、続けていくことができません。打ち切りは苦渋の選択でありますが、今後は総務省市町村税課が保有する課税台数のデータを活用していただければと思います」(同省自動車交通局管理課)
しかし、総務省市町村税課がまとめている課税台数は、2005年4月が最新だ。統計は毎年行われているが、06年4月の統計は07年春にならないと公表されない。しかも、問い合わせに応じるのは全国の課税台数だけ。都道府県別の課税台数など詳細は、情報公開請求をしないと公表されないというお粗末ぶりだ。
全国には1000万台以上の原付バイクが走っている。その推移を把握するのは行政の国民サービスの基本のはずだ。担当行政に当事者意識がないのはどういうわけか。